2021 Fiscal Year Research-status Report
Is there any biomarker for Grit?
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20K20838
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
夏目 季代久 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 教授 (30231492)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | やりぬく力Grit / 勤勉性学習 / オープンフィールド試験 / 高架式十字迷路実験 / 回し車走行試験 / カイニン酸投与 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラットのGrit行動指標を決めるために、最初、昨年度同様、下記①の勤勉性学習動物モデルを作成し例数を増やした。しかし有意な結果が出なかったので、②の方法でのモデル作成も試した。①【餌を異なる場所に置いて飼育した】ラットを2群に分け、A群は床に餌を置きすぐに食べられる条件、勤勉性学習すると考えているB群は、金網のすき間からしか餌が取れず、A群に比べて餌を取るのに苦労する条件で飼育した。両群2週間程同一条件で飼育した。餌の取得量を2群で同一にするため1日あたりの餌量を管理し体重増加に違いが無いようにした。2群の学習結果を検証するために【高架式十字迷路試験】、【輪回し車内での走行試験(WRT)】を行った。両試験共に、1時間行動観察を行った。1)高架式十字迷路試験では、Open-arms 侵入回数、Open-arms滞在時間共に、有意差は無かった。2)回し車内での回転数を比較した所、A、B群両群で差は無かった。以上の事から餌を異なる場所に置いて飼育しても勤勉性学習ラットは生成出来ない可能性が示唆された。そこで他の方法を試す事にした。②【カイニン酸少量頻回腹腔内投与】カイニン酸を0.05%濃度で10ml/kgずつ最大3回1時間ずつ腹腔内投与したラット(KA群)の、投与1週間後の行動を測定した。その結果、オープンフィールド試験(OFT)では移動距離が延長した。またフィールドのセンターゾーンへの侵入距離も有意に延長した。さらに高架式十字迷路試験(EPMT)では、Open-arms entry回数は有意に多くなり、Open-arms滞在時間は有意に長くなった。一方、WRTでの回転数は有意な違いは見られなかった。WRTでの結果はKA群で見られた結果が、運動性向上が原因で無いことを示唆する。従ってOFT,EPMTでの結果はラットが勤勉性を獲得した可能性を反映していると示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
たまたま、他の実験で作成した、カイニン酸少量頻回腹腔内投与によるラット(KA群)がOFTでの移動距離が対照群と比較して延長し、またEPMTでのOpen-arms entry回数は有意に多くなり、Open-arms滞在時間は有意に長くなった。これらの結果はKA群ラットが勤勉性を学習した事を示唆しており、EPMTにおけるOpen-arms entry回数、Open-arms滞在時間が勤勉性学習の指標である可能性が示唆された。 以上の事が明らかになったので、上記評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
カイニン酸少量頻回腹腔内投与でのラット匹数を増やし、結果を確かなものにする。特に、高架式十字迷路での学習実験、新規物体探索試験における学習実験を行い、Open-arms entry回数、Open-arms 滞在時間がGrit行動指標になるかどうか調べる。 【新規物体探索試験】は認識記憶に関する試験である。ボール、三角錐、三角柱の3種の物体をフィールドに置きラットを慣れさせる。その後、1種を新奇物(直方体)に交換し新奇物の探索時間を測定する。制限時間5分内でこの試行を繰り返し試行回数を測定する。 また引き続き、餌の与え方を工夫し、勤勉性学習ラットモデルを作成できないか可能性も模索する。 さらに、これまでの実験で求めたGrit行動指標に汎化性があるかどうか調べる。ラットを3群に分け、各群はスキナーボックス内でレバーを押すと餌が貰えるように学習させる。その時、A,B,Cの3群で餌を貰えるまでのレバー押し回数を変化させる。AよりCが困難状況で報酬が貰える事を学習しているので、勤勉だと予想される。この時、実験1で求めたGrit行動指標がA~C群間で有意な差が生じるかどうか調べる。 加えて勤勉性学習ラットにおけるバイオマーカーとして脳波、ドパミン等の測定を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度、コロナの影響で、国内学会が全てオンラインになり、またアメリカでの北米神経科学会への参加を見合わせた。そのため、旅費の分、支出が無く、残額が生じた。 2022年度は、最終年度として、無力感学習ラットモデル作成のために、ラット用オペラント学習装置を購入し、また勤勉性学習ラット及び無力感学習ラットの脳内ドパミン及びセロトニン測定用の測定カラムに使用予定である。
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