2022 Fiscal Year Research-status Report
Is there any biomarker for Grit?
Project/Area Number |
20K20838
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
夏目 季代久 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 教授 (30231492)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | やりぬく力Grit / 勤勉性学習 / オープンフィールド試験 / 高架式十字迷路実験 / 新規物体課題 / カイニン酸投与 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラットのGrit行動指標を決めるために、勤勉性ラットモデルの作成を試み、昨年見つけたカイニン酸少量頻回投与ラットの行動を調べている。昨年度はてんかんラットの作成する方法を用いたので、今年度はそれと比べ少量での投与を試みた。3,4週齢のラットにカイニン酸を0.05%濃度で10ml/kgずつ最大2回1時間インターバルで腹腔内投与したラットの、投与前と投与1、2週間後の行動を測定した。 その結果、オープンフィールド(OFT)課題では10分間の総移動距離が昨年度同様延長した。またフィールドのセンターゾーンへの侵入距離も有意に延長し、昨年度同様の結果が得られた。さらにそのラットの学習性能を測定するために、新規物体探索(NOR)課題を実施した。NOR課題は最初に2つの物体Aに慣れさせ、その後、あるインターバル後に物体Aと新規物体Bを提示する課題である。ラットがもし物体Aを記憶していたら新規物体Bに最初に接近するはずであり物体Bに探索する時間が長いと考えられる。インターバルを5分、10分、1時間、1日とし実験を行った。3匹のラットで行った所、2匹のラットではKA投与により物体Bへすぐに接近するようになり、物体Bへの探索時間が長くなったが、1匹のラットではそのような傾向が見られなかった。 今後ラット例数を増やす事により、KAの少量頻回投与によりラットの行動変容を明らかにし、勤勉性を獲得した可能性について検討したいと考えている。また上記で観察された個体差についても、その原因について研究していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度たまたま見つけた、カイニン酸少量頻回腹腔内投与によるラット(KA群)がOFTでの移動距離が対照群と比較して延長し、またEPMTでのOpen-arms entry回数は有意に多くなり、Open-arms滞在時間は有意に長くなった。これらの結果はKA群ラットが勤勉性を学習した事を示唆している。今年度は、そのラットの学習性能についてNOR課題を元に明らかにした。但し実験実施する支援研究員の体調が不良だったので代わりに大学院生が行った。院生は動物の取り扱いも初めてであり、ゼロからの実験実施だったので、OFT課題、NOR課題の実施に時間がかかった。そのため3例のラットでしか実施出来なかったので、上記の進捗状況とした。
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Strategy for Future Research Activity |
カイニン酸少量頻回腹腔内投与でのラット匹数を増やし、結果を確かなものにする。特に、高架式十字迷路での学習実験、新規物体探索試験での結果、Open-arms entry回数、Open-arms 滞在時間、新規物体探索時間がGrit行動指標になるかどうか調べる。 さらに、これまでの実験で求めたGrit行動指標に汎化性があるかどうか調べる。ラットを3群に分け、各群はスキナーボックス内でレバーを押すと餌が貰えるように学習させる。その時、A,B,Cの3群で餌を貰えるまでのレバー押し回数を変化させる。AよりCが困難状況で報酬が貰える事を学習しているので、勤勉だと予想される。この時、実験1で求めたGrit行動指標がA~C群間で有意な差が生じるかどうか調べる。 また勤勉性学習ラットにおけるドパミン神経の起源である腹側被蓋核を電気刺激した後に発生するバイオマーカーとしての海馬脳波、海馬ドパミン等の測定を行う予定である。
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Causes of Carryover |
支援研究員の体調不良のため、今年度の研究の進展が思わしくなかったため、1年延長手続きを申請し許可された。 次年度は今年度の計画を継続し、マイクロダイアリシス法により脳内ドパミンを測定する。そのために使用すると共に、最終年度であるので、結果をまとめて学会発表、論文投稿するために使用予定である。
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