2023 Fiscal Year Annual Research Report
The Investigation of developmental changes of emotional literacy:Implications for educational support
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20K20843
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
渡邊 弥生 法政大学, 文学部, 教授 (00210956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 美香 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (50312806)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | ソーシャルエモーショナルラーニング / 感情リテラシー / 発達 / 表情 / 声 / 感情理解 / コミュニケーション / 社会情緒能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、感情リテラシーの発達プロセスを明らかにすることと、コミュニケーションが感情リテラシーに及ぼす影響を検討するということにあった。コミュニケーションとしては、声・表情というノンバーバルな行動を手がかりとして、感情リテラシーにどのような影響を与えるかそのプロセスを解明することであった。感情リテラシーは、感情の知覚・感情の利用・感情理解・感情調整の4つの資質を含むものとして捉えている。 最終年度では、表情・声だけではなくさらに仕草を加えて、プロの子役事務所の子役(小学生男女1名ずつ)を対象に、6つの感情(怖れ、悲しみ、嫌悪、喜び、怒り、驚き)が喚起されるシナリオを用意し、演技を依頼した。動画を表情刺激(正面・右45度・左45度)また音声を6種類、動画を6種類刺激として準備した。この刺激を作成して、成人を対象に、声や表情を通してこの6感情が弁別されるかどうかを実験した。その成果については、成人においても感情によっては複数の感情として捉えられるなど、各感情が明確に区別することは難しいことが示唆された。この成果は、9月の教育心理学会で発表する予定である。 すでに、幼児から高校生までの発達時期は、3感情(喜び・怒り・悲しみ)について最終年度以前に検討することができた。幼児については年中から年長への変化、児童についてはほぼ正確に弁別できるようになるが個人差が大きいこと、また発達するにつれて、喜びの声でも実は怒りを堪えているのではないかという推測の読みの深さなどの違いが生じることが明らかになった。高校生に至っては、回答のさせ方を選択式にせずに、自由記述にするとその高校生各人が活用できる気持ちの語彙によって、多様な感情表現が布置されることとなり、古典的な感情理論よりも構成主義的な情動の理論による考察から考える可能性が指摘された。2つの学術論文に掲載された。
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