2020 Fiscal Year Research-status Report
自閉スペクトラム症児等への継続的介入方法の開発と効果検証法の検討
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20K20846
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
黒田 美保 帝京大学, 文学部, 教授 (10536212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻井 正次 中京大学, 現代社会学部, 教授 (20257546)
浜田 恵 名古屋学芸大学, ヒューマンケア学部, 講師 (00735079)
稲田 尚子 帝京大学, 文学部, 講師 (60466216)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 継続的療育支援 / 児童発達支援事業所 / 放課後等ディサービス / Gaze Finder / 顔テレビ / 効果の評価方法 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder: 以下ASD)は, 対人コミュニケーションとこだわりの二領域の障害を主兆候とする発達障害である。その有病率は1~2%と言われ,決して稀な障害ではない。ASDについては1歳台からの早期介入の効果が報告され, 欧米では,数種類の効果検証のされた治療教育(療育)プログラムが実施されている。 本研究では,地域コミュニティの中で, 幼児期早期から学童期に至るまでをカバーする,対人コミュニケーションに弱さのある子どもを対象とした,継続的療育支援をできるプログラム開発の基盤作りを目指す。現在, 厚生労働省の施策によりASD児の地域での治療教育の拠点は, 児童発達支援事業所や放課後等ディサービスとなっている。その地域の児童発達支援事業所等で実施できるプログラム開発の足がかりとなる研究を行い, 同時に, プログラムの効果については,心理学的評価以外に 顔テレビと呼ばれるGaze Finder(ゲーズ・ファイダー:視線追跡計測システム)という生理学的指標も取り入れ,より客観的に検証する。子どもの対人コミュニケーションの変化を測定する適切な検証法を検討し, 療育効果の評価方法のパッケージ化も試みる。 本年度は、新型コロナ蔓延の影響で児童発達支援事業所において本格的にASD幼児の参加を募っての研究は難しく、過去の文献研究やGaze Finderを購入しその使用方法の習熟や結果の見方に力を入れた。また、東京地域と東海地域で研究協力をしてくれる児童発達支援事業所と放課後等ディサービスの施設との来年度の募集に向けての打ち合わせを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は、新型コロナ蔓延の影響で児童発達支援事業所において本格的にASD幼児の参加を募ることは難しかった。感染防止対策のため、施設関係者以外施設に入ることも難しかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
計画では、研究参加者は20名程度としている。新型コロナの状況を見ながらとはなるが、2021年度には参加児を募集しデータ収集を開始する。プログラムのマニュアル化をしつつ、児童発達支援事業所などで参加児に実施すると同時に、以下の検査をプログラムの前後で行う。ADOS-2:Autism Diagnostic Observation Schedule-Second version (自閉症診断的観察尺度第2版,ASDの診断・評価ツールとして世界的にゴールド・スタンダードであり,また重症度をはかることもできる)。Vineland-II適応行動尺度日本版:Vineland Adaptive behavior test-second edition (0歳から92歳までを対象とし、コミュニケーション、社会性、日常スキル、運動スキルの4領域の適応行動指数とその総合点である適応行動総合点を求めることができる。適応行動を数値で求められる検査である)。同時に、子どもの変化を捉えるために、他者の感情認知を調べる課題を行なっている時の子どもの視線について調べる。そのために、 前述したGaze Finderを用いる。Gaze Finderは、日本で開発された視線追跡装置であり、キャリブレーションが容易であり、幼児の研究に適している。本研究では、ASD幼児の早期介入の効果測定にも適している可能性があることを調査する。
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Causes of Carryover |
新型コロナ蔓延により、実際に参加を呼んでの研究ができず、また、学会等の参加もオンラインにだったため旅費なども生じなかった。これらの理由により、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(3 results)