2023 Fiscal Year Research-status Report
「アクティブ・ラーニングにおける発達障害学生への合理的配慮ガイドライン」の作成
Project/Area Number |
20K20852
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Research Institution | Shikoku University |
Principal Investigator |
上岡 義典 四国大学, 生活科学部, 教授 (50641411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷川 裕稔 四国大学短期大学部, その他部局等, 教授 (00321323)
奥村 玲香 帝塚山大学, 全学教育開発センター, 准教授 (20461189)
上岡 千世 四国大学, 生活科学部, 教授 (20531833)
居上 真人 四国大学短期大学部, その他部局等, 教授 (20735047)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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Keywords | アクティブ・ラーニング / 発達障害学生 / 二次障害 / 合理的配慮 / ガイドライン |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、大学教育においては、「アクティブ・ラーニング」が積極的に導入されている。しかし、対人関係に困難さを示す発達障害学生から「アクティブ・ラーニング型」授業に関する相談が多く寄せられている実情があり、また授業欠席から中途退学に至った事例が存在する。これらの現況を踏まえ、本研究では、大学生(発達障害学生を含む)を対象とした調査、発達障害学生の相談を通して「アクティブ・ラーニングにおける発達障害への合理的配慮ガイドライン」の作成を目的として研究に着手した。しかしCOVID-19感染拡大の影響を大きく受け、大学における講義・演習などはオンライン形式への転換を余儀なくされ、実習においては大学での代替措置が一部には取られてきた。このため、従来から実施されてきた「アクティブ・ラーニングの手法」の継続的な実施が困難になった面がある。 そこで、アクティブ・ラーニングにおける発達障害学生への配慮を検討するため、彼らの授業場面における困難さについて面接記録や聞き取りを通して確認した。比較的よく行われているグループワークにおいては、講義・演習のどちらの授業形式においても、「集団に入ることができない」「集団に入っても、ワークに参加できない」ことが見い出された。また、造形表現などの実技系の授業においては、作品づくりのための材料は豊富に用意されていることを望む一方、材料の整理整頓が行き届いていないと、その抽出に長い時間を要する困難さが認められた。 最後に、COVID-19のパンデミックにより一般化したオンライン授業においては、導入時の設定に困難さを示したものの、対面授業に比べて参加しやすいとの意見もあった。ただ、グループワークを求められた場合には、対面授業と同じ困難さがオンライン授業においても認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19感染拡大の影響を受け、大学における講義・演習などはオンライン形式への転換を余儀なくされ、実習においては大学での代替措置が一部には取られてきた。感染状況が変化する中、対面授業とオンライン授業の“ハイブリッド”形式が取られ、従来から実施されてきた「アクティブ・ラーニングの手法」の継続的実施が困難となり、当初予定していた調査実施は引き続き困難な状況が続いていた。 「コロナ禍」以前の実情分析は、過去の相談記録等から引き続き進めている。しかし、以前の授業スタイルに近い形に戻りつつある状況になり、ようやく他大学に赴いての情報収集などが可能になった現状がある。オンライン形式のメリット・デメリットにおける聞き取り実施を継続してきており、オンライン授業における困難さや演習・実習・実技の形態変化に伴う「アクティブ・ラーニング型の授業」における発達障害学生の困難さをについても調査を行うことができるようになった。 一方、円滑に研究を進めるための機器や消耗品、参考資料などについては概ね準備することができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19は感染症法上の位置づけが5類に変更となったが、感染症がなくなったわけではない。ただし、大学等の出張に係る制限も緩和された。また、この度、本補助事業期間の延長もお認めいただいた。これらの状況を捉えて、これまで実施が叶わなかった他機関の更なる視察や情報収集、研究打合せ・研究発表など行う。 「コロナ禍」以前の授業形態だけではなく、オンライン授業や実習代替措置などおける「アクティブ・ラーニング型授業」評価に関しての調査・分析についても、可能な限り、引き続き進めていく。加えて、学生相談室でのカウンセリングや学修支援センター・学習支援室の相談記録分析も継続し、研究遂行を図る。
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Causes of Carryover |
COVID-19の感染拡大により、国内外の移動が制限されてきたため、情報収集や視察・研究発表等に関わる国内・国外旅費を使用する機会がほぼなかった。当該感染症の位置づけが変更となり、国内外の出張規制がなくなったため、情報収集や視察・研究打合せ・研究発表のための旅費を主に使用する。
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