2021 Fiscal Year Research-status Report
Study of factors that make science like and dislike using social emotional skills (non-cognitive skills)
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20K20856
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
吉岡 亮衛 国立教育政策研究所, その他部局等, 客員研究員 (40200951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江草 由佳 国立教育政策研究所, 研究企画開発部教育研究情報推進室, 総括研究官 (60413902)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 科学教育 / 理科教育 / 理科の好き嫌い / 社会情動的スキル / 非認知スキル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は子どもたちをもっと理科好きにさせるためにはどうすればよいかについての議論を高めるために、社会情動的スキルの働きに着目して研究を行うことである。 調査問題の作成の前段として大規模学力調査で使用された質問調査の問題について検討を行った。検討の材料とした調査は、PISA2015調査、全国学力・学習状況調査、IEA国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2019)である。これらの質問を心理学のビッグファイブ特性に照らして分類した結果、3つの調査において5つの特性に対応する質問が入っていることを見出した。 PISA2015は、開放性に関する質問が35%と多く、残る協調性、誠実性、外向性、神経症傾向の4つの特性についてはほぼ均等に出題されていた。TIMSS2019の質問には、誠実性は11%と若干少ないが残りの4特性はほぼ均等に出題されていた。全国学力・学習状況調査の令和3年版テストの中学生では、神経症傾向には関しては1問のみで、残る4特性はほぼ均等に出題されていた。 PISA2015の質問と科学的リテラシーの得点との関係を分析した結果から、ひとつ特徴的な点を報告すると、「科学的見解は、変わることがある」という科学の変化に関する問いに大いに賛成する生徒とまったく否定する生徒の間には123点の得点差があるのに対し、「科学に関する雑誌や新聞の記事を読む」頻度に関してはよく読む生徒とまったく読まない生徒の間には39点の差しかない。つまり科学的リテラシーは、科学に関する情報量の多寡よりも本人の科学に対する信念に大きく左右されることが示唆された。また、科学に対する学習の必要性の認識は得点への原動力とはなりにくいということも明らかにされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
調査問題の作成については、PISA調査の科学的リテラシーの結果および全国学力・学習状況調査、IEA国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)の質問調査基づく調査問題の枠組みを設計した。また、心理学的な尺度に関しては収集した文献の中から適切な尺度を何件か見付けることが出来た。それらを総合して調査問題のたたき台を作成し検討をしたが、コロナの影響もあり実地調査を実施することが出来なかった。そのため年度を改めてから調査を実施しデータの分析と結果のまとめを行なう事とした。
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Strategy for Future Research Activity |
調査問題の作成については、これまでに収集したPISA2015調査、全国学力・学習状況調査、IEA国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)の質問調査から作成した調査問題の枠組みを土台として、心理学的な尺度を加えて調査問題を完成させる。これは遅くとも6月中には完了する予定である。調査の実施については、ウェブアンケート調査で行うこととし、複数業者からの見積もり合わせを行って7月中に請け負い業者を決定し調査を行なう。ウェブアンケート調査を行なうことによりデータ入力作業は省略出来ることになるので直ちにデータ分析作業に取りかかれることになり、9月中には一次分析を完了できる予定となり、分析結果の検討および追加の分析を行なって、令和5年の1~3月に報告書をとりまとめる計画とする。スケジュールが合えば令和5年の1~3月に学会での発表を行いピアレビューを受けたいと考える。
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Causes of Carryover |
年度内に質問紙調査が行えなかったため、その分を次年度に繰り越し、調査自体を次年度に行う計画とした。
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