2020 Fiscal Year Research-status Report
自閉スペクトラム症者の自己開示を促す多数体ロボットシステムの開発
Project/Area Number |
20K20857
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
熊崎 博一 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 児童・予防精神医学研究部, 室長 (70445336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 雄一郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (60418530)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 小型ロボット / 自己開示 / 自律動作 |
Outline of Annual Research Achievements |
ロボット工学者の吉川(分担研究者)らが開発したヒト型ロボットであるCommUは、複数体のロボットと人間との集団コミュニケーションを研究するためのプラットフォームである。複数の聞き手ロボットが同時に反応を提示することにより、その場を共有する人に存在感や一体感を実感させ、円滑なコミュニケーションを支援するシステムとなっている。本年度は複数体の自律型のCommUを用いて、自閉スペクトラム症者が前向きに違和感なく自己開示を促す複数体ロボットシステムの作成に取り組んだ。尚それぞれのCommUは自律動作にて視線追従、瞬き、頷き、口の開閉等といったノンバーバルの調整を行う設定とした。精神科患者の分析・支援が専門の代表者(精神科医)と、分担研究者の吉川が実験中のインタラクションの経時的変化を詳細に検討し、CommUの動きと被験者の反応の分析に取り組んだ。多くの自閉スペクトラム症者が複数体のCommUと前向きにコミュニケーションした。一方で自閉スペクトラム症者の中には、CommU同士の会話の間に神経質でCommU間のコミュニケーションに違和感を覚える者も多く、多くの自閉スペクトラム症者が長時間集中できるように改善することが課題として残った。健常者への設定と比較して、自閉スペクトラム症者では会話のスピードをゆっくりとすること、また事前にある程度会話のテーマを決定して、少し準備時間を設けておくことで、自己開示におけるストレスを軽減できることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自閉スペクトラム症者を対象に複数体の小型ロボットCommUを用いた自己開示システムを体験していただき、結果を分析することで今後さらなる開発に向け必要な要素について検討することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
複数体の小型ロボットCommUを用いた自己開示システムを改良したうえで、自閉スペクトラム症者にさらにシステムを体験していただき、結果を分析することで、より多くの自閉スペクトラム症者に自己開示を促すシステムを開発していく。システムが完成したら、ヒトが自己開示を促す場合と比べてのメリットを明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
コロナ感染拡大の影響もあり一部予定していた研究が延期になってしまった。今年度出来なかった研究は、次年度以降に行う予定である。
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Research Products
(5 results)