2021 Fiscal Year Annual Research Report
緊急地震速報の有効性改善のための心理学的アプローチ
Project/Area Number |
20K20872
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
中谷内 一也 同志社大学, 心理学部, 教授 (50212105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑 敏道 同志社大学, 心理学部, 教授 (50399044)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 防災 / 緊急地震速報 / 避難行動の自動化 |
Outline of Annual Research Achievements |
緊急地震速報は大きな地震動が到達する数秒から数十秒前に、揺れが予想される地域の住民に注意を呼びかける情報システムである。2021年度研究の目的は「なぜ、緊急地震速報を受信しても防護行動がとられないのか、どうすれば行動を促すことができるのか」という問いへの答えを得ることであった。 9月から10月にかけて実際に緊急地震速報が発表された地域においてオンライン住民調査を実施し、速報受信後の行動についてこれまでより詳細なデータ収集を行った。具体的には、石川県能登地方(9月16日)、九州南部(10月6日)、関東地方(10月7日)でそれぞれ発表された緊急地震速報をとりあげ、速報を受信したメディアや受信直後の行動を中心に質問を行った。分析の結果、主要な受信デバイスは携帯電話であることが明らかになり、受信直後にその携帯電話の画面を見ようとする傾向が一貫して示され、この傾向が即時的な防護行動の障壁になっていることが示唆された。 また、実験室実験を実施し、古典的条件づけによる条件性弁別の手続き用いた、緊急地震速報受信後の反応トレーニングの効果を検証した。仮説は、トレーニングによって、置かれた状況に応じた適切な対象への注意を短い潜時で行えるようになる、というものであった。しかしながら、分析の結果、そのような効果は検出されなかった。今回の実験の枠組み内ではその原因は確定できないが、ひとつの推論としては、地震国であり災害時の行動について幼稚園や小学校という早い時期から防災教育が行われている日本では、地震時に置かれた状況に応じて何に注目すべきか、既に人々に共有されているという可能性が考えられる。
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Research Products
(2 results)