2022 Fiscal Year Research-status Report
Geometry from the viewpoint of quantization and duality
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20K20877
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 晃史 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (10211848)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | 箙 / 変異 / 分配関数 / 三角圏 / クラスター代数 / 不変量 |
Outline of Annual Research Achievements |
箙(quiver)とその変異(mutation)は,クラスター代数とともに,可積分系・低次元トポロジー・表現論・代数幾何学・WKB 解析などさまざまな分野に共通して現れる構造として注目を集めている.特に,箙の変異列 (mutation sequence) から系統的にゲージ理論や3次元双曲多様体を構成する方法が提唱され,その不変量を数学的に厳密に解析する手段の開発が必要となった. 加藤は寺嶋郁二氏(東京工業大学)との共同研究において、与えられた箙変異の列 γ (quiver mutation loop = クラスター代数の exchange graph 上のループに相当)に対し、分配 q 級数 Z(γ) と呼ばれる母関数を定義したがこの考え方は、quiver mutation loop のような周期境界条件ではなく、初期条件のみを指定した有限区間 (quiver mutation sequence) に対しても適用可能である。この場合は終状態に対する自由端条件を表すために、 c-vector で次数付けされた非可換トーラスに値を持つ関数として考えるのが自然である。加藤は、寺嶋郁二氏と水野勇磨氏(ともに東京工業大学)との共同研究において、Boltzmann weight を q 二項係数とする分配関数(partition function)を導入し、その性質を調べた。この分配関数は、実は引数の異なる2つの分配 q 級数の比として書けることが証明できる。その結果、分配関数もまた分配 q 級数が持つ様々な良い性質を引き継いでいる。たとえば、 q 二項係数が満たす Stanley の関係式は、分配 q 級数がペンタゴン関係式を満たすことの帰結として導くことができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今までの分配級数の考え方を3次元多様体の理想単体分割に適用する場合,branching と呼ばれるデータの載せ方次第ではうまく位相的な不変量が定義されないことがわかった。すなわち,Pachner 2-3 move は位相的な理想単体分割においては常に定義可能だが,これに branching の情報を載せた構造に対しては,move の前後で branching が存在できなかったり,不定性が生じることがあり,位相不変量として矛盾なく定義できる保証が得られないことがわかり,その解決法を模索している.
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Strategy for Future Research Activity |
今までの分配級数の考え方を3次元多様体の理想単体分割に適用する場合,branching と呼ばれるデータを用いることは cluster 代数との相性の観点から非常に有用であるが,上記のような困難を抱えていることも明らかになった.この困難の解決を目指してかなり苦労を続けてきたが,最近になって,Hopf 代数における(余)積分をうまく活用し,各理想単体に「branching に応じた」 Hopf 代数の element をうまく対応させ,かつ,Boltzmann 重率に対する冪根による補正をうまく取り入れることで,こうした困難を回避できる見通しが立ってきた。
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Causes of Carryover |
研究期間3年のうちほぼ2年がコロナ禍の時期に重なり,研究交流(学会,研究集会への参加)や資料収集のための出張が軒並み不可能になったことが主な原因である.今後は,控えていた出張を予定通り行うとともに,研究をする上で必要な書籍類,消耗品,備品なども購入する予定である.
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