2020 Fiscal Year Research-status Report
Research on a complexification of hyperbolic tetrahedra
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20K20881
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
村上 順 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90157751)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 双曲四面体 / 量子不変量 / 量子 6j 記号 / 空間グラフ |
Outline of Annual Research Achievements |
体積予想と呼ばれる予想により,結び目や空間グラフの量子不変量から、これらの補空間の双曲構造に関する情報が得られることがわかってきているが,この予想の証明はまだ得られていない。本研究では,結び目や空間グラフの量子不変量である Kirillov-Reshetikhin 不変量から体積予想を証明することを最終的な目標としている.Kirillov-Reshetikhin 不変量は量子 6j 記号というものを用いて定義されており,この量子 6j 記号は四面体と対応するものである.体積予想の考え方をこの量子 6j 記号に適用すると、量子 6j 記号と対応する双曲四面体が定まるのだが、辺に対応するパラメータが複素数となって、長さや角度とは異なるパラメータで形が与えられる四面体が出てくる.この幾何学的実体を解明し、堆積予想の証明につなげようというのである. ここまでのところ、単独の量子 6j 記号と双曲四面体との関係についての解析が進んでおり、Qingtao Chen との共同研究により量子 6j 記号の漸近挙動の主要項から対応する双曲四面体の体積が得られることを示し,さらに2番目の主要項が対応する双曲四面体のグラム行列の行列式と対応することを示した.量子不変量の漸近挙動の主要項は体積で,第2項は捻れライデマイスタートージョンであると予想されているが,この研究での成果により双曲四面体については,グラム行列の行列匹が捻れライデマイスタートージョンに対応することを見出した.この結果についての論文は Journal of Differential に掲載が決定している.さらに、このことを受けて Ka Ho Wong, Tian Yang により実際にグラム行列の行列匹が捻れライデマイスタートージョンと解釈できることが示されている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国際共同研究により研究を進めているが、国際交流の困難な状況のため、思うように研究を進めることができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では,結び目や空間グラフの量子不変量である Kirillov-Reshetikhin 不変量から体積予想を証明することを最終的な目標としていて、その重要な構成要素である量子 6j 記号の性質を幾何学的な観点から明らかにしていく.四面体に対応する空間グラフについては、対応する量子不変量が量子 6j 記号そのものとなり、これについての解析はおおよそできている.また、平面グラフに対応する量子不変量についても、対応する双曲多面体との関係が Alexander Kolpakov との研究でわかっているので、今後は、平面グラフでは表すことのできない空間グラフに対する量子不変量の解析を行って、その構成要素である量子 6j 記号の性質を見ていく.
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Causes of Carryover |
国際共同研究のための研究交流を行うことが困難な状況となり、予定されていた国際交流を延期せざるおえなかったため。
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