2022 Fiscal Year Research-status Report
Research on a complexification of hyperbolic tetrahedra
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20K20881
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
村上 順 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90157751)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | 双曲多面体 / 結び目 / 双曲3次元多様体 / 量子不変量 |
Outline of Annual Research Achievements |
以前の研究により,色付き Jones 多項式と双曲体積の関係から導かれた「体積予想」を,量子 6j 記号と双曲多面体との関係に適用することで,双曲空間中の四面体の体積公式が得られている.また,この体積公式は,各辺での2面角や辺の長さに関する解析的な関数となっており,3次元球面中の四面体の体積公式にも拡張されている.体積公式での変数は角度,もしくは長さという,実数で表される数なのであるが,本研究では,この体積公式の変数を複素化したものに対応すると考えられる一般化された四面体について,その幾何的な実態がどのようなものかを明らかにすることを目指している. 本年度は,テキサス大学ダラス校の Tran 教授との共同研究により,2橋結び目の色付き Jones 多項式を,量子 6j 記号をもちいて構成した.双曲体積は,色付き Jones 多項式のある種の極限であるポテンシャル関数の特異点での値と対応し,このとき,各量子 6j 記号の値の和が双曲堆積となるので,色付き Jones 多項式を構成する量子 6j 記号が,結び目補空間のある部分と対応するはずだということが示唆される.結び目補空間の双曲構造の研究には,補空間の基本群の PSL(2, C) 表現もよく使われているのであるが,今年度の研究では,ポテンシャル関数の特異点に対応する量子 6j 記号のパラメータ(辺や角の複素化に対応するもの)と,その辺と対応する基本群の PSL(2, C) 表現の行列の固有値との関係についても明らかにすることができ,これにより,辺や角の量子化が Fenchel-Nielsen 座標と対応することが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
パンデミックによる研究交流の制約のため,他の研究者との研究打ち合わせを十分に行うことができず,研究が遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
双曲四面体の辺のパラメータを複素化したものが Fenchel-Nielsen 座標と対応することがわかったので,2橋結び目の場合に,実際に結び目の補空間中にどのように辺を実現できるかを調べ,その様子から複素化された双曲四面体の実態を明らかにする.
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Causes of Carryover |
パンデミックによる研究交流の制約により他の研究者との十分な研究打ち合わせを行うことができず,研究を十分に遂行することができなかった. 双曲四面体の複素化に対して,現在辺の意味するものまでは得ることができているので,この辺の様子を詳しく調べることで,複素化された四面体の実態を明らかにする.そのためにテキサス大学ダラス校の Anh Tran 教授などと研究交流を行う.また,国内外の研究集会にも参加して,多くの研究者の知見を研究に生かす.
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