2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K20889
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
青木 大 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30359541)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | フェルミ面 / 電流誘起現象 / ドハース・ファンアルフェン効果 / 超伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、電流誘起の新奇なフェルミオロジーを展開することである。反対称スピン軌道相互作用による特徴的なフェルミ面の性質をドハース・ファンアルフェン(dHvA)効果の新しい測定手法を開拓することで明らかにする。具体的には、カイラル構造を含む空間反転対称性の破れた物質に大電流を流しながらdHvA効果を測定する。電流の有無によるフェルミ面の違いをdHvA振動数から明らかにする。また、フェルミ面上のスピンテクスチャー(スピン構造)を反映した特徴的な軌道交差現象を詳細に調べる。カイラル構造の場合は、電流を逆向きに流した時に現れる変化を調べる。 当該年度は、 UPt5やURhSnなど空間反転対称性の破れた系において、ドハース・ファンアルフェン効果の観測に成功し、軌道交差現象の観測やフェルミ面の分裂などを明らかにした。また、CeRhIn5の強磁場トルク測定により、フェルミオロジーの視点からの対称性の破れ、新たな磁気相の発見などの成果が得られた。 物質探索についても進展があり、カイラル構造を持つ反強磁性体NdPt2Bの複雑な磁場・温度相図などが明らかになった。WSi2の巨大磁気抵抗、フェルミ面なども明らかにした。 新奇重い電子系超伝導体UTe2については、メタ磁性によるフェルミ面の再構築やリフシッツ転移などを熱電能測定、ホール効果測定から明らかした。 URhSnについては、高圧下の実験により多重臨界と電子状態の劇的な変化を見出した。 物質開発によって得られたこれらの系について、今後、電流誘起による新奇な軌道交差現象の観測を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カイラル構造を持つ物質の物質探索や純良単結晶育成を順調に進んでいる。また、フェルミ面観測にも成功して、反対称スピン・軌道結合による特徴あるフェルミ面の性質が明らかになりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もカイラル構造や局所的に空間反転対称性がやぶれた系の物質探索を進める。ドハース・ファンアルフェン効果の観測は、純良単結晶育成が要であるため、この点に注力する。さらに、電流誘起による特徴的な軌道交差現象の観測もターゲットとする。
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Causes of Carryover |
当該年度は、特徴的な結晶構造を有する物質の単結晶育成、物質開発に注力したため、次年度使用額が生じた。今後の使用計画として、電流誘起現象を観測するための寒剤費、電子部品購入費などを計上している。
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Research Products
(32 results)
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[Journal Article] Slow Electronic Dynamics in the Paramagnetic State of UTe22022
Author(s)
Tokunaga Yo、Sakai Hironori、Kambe Shinsaku、Haga Yoshinori、Tokiwa Yoshifumi、Opletal Petr、Fujibayashi Hiroki、Kinjo Katsuki、Kitagawa Shunsaku、Ishida Kenji、Nakamura Ai、Shimizu Yusei、Homma Yoshiya、Li Dexin、Honda Fuminori、Aoki Dai
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Journal Title
Journal of the Physical Society of Japan
Volume: 91
Pages: 023707
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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