2022 Fiscal Year Annual Research Report
磁場方位制御可能なサブピコメートル膨張計の開発と新奇超伝導相の研究
Project/Area Number |
20K20893
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
橘高 俊一郎 中央大学, 理工学部, 准教授 (80579805)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 膨張計 / 磁歪 / 超伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
CeCoIn5は超伝導1次相転移を伴う強いパウリ常磁性効果を示すが、c軸方向の磁場下におけるFFLO超伝導の実現可能性は未だに明確になっていない。前年度までに実施したc軸方向の磁歪測定から、c軸磁場下で履歴を伴う超伝導1次相転移の観測に成功し、微弱ではあるがc軸磁歪が多段構造を示すことを明らかにした。今年度は、磁歪の多段構造の試料依存性を検証するために新たにCeCoIn5の高純度単結晶試料を育成し、同一の試料を用いてc軸方向に加えてa軸方向の試料長変化についても測定した。さらに、ベクトルマグネットを用いて磁場方位も精密制御し、それぞれの方位の試料長変化についてbc面内磁場角度依存性まで追究した。その結果、c軸磁場下の上部臨界磁場近傍でc軸磁歪は2段構造を示すが、a軸磁歪は単一の相転移しか示さないことを明らかにした。その原因として、FFLO相転移が異方的な試料長変化を伴う可能性を指摘した。一連の磁歪測定は、磁場方向に対して膨張計を様々な向きで取り付けられるように小型化したことで実現した。得られた結果の詳細は日本物理学会等で口頭発表を行った。
本研究期間全体では、キャパシタンス式膨張計の開発・改良が進み、サブピコメートルの高感度を達成した上で膨張計を小型化することにも成功し、精密磁歪測定の応用可能性を当初想定した以上に広げることができた。FFLO超伝導の実現が期待される非従来型超伝導体Sr2RuO4とCeCoIn5において微弱な磁歪異常を検出することにも成功し、FFLO超伝導研究においても重要な進展があった。本研究の実施により、試料長の温度・磁場・磁場角度依存性をサブピコメートルの分解能で測定することが可能となり、精密物性研究の新たな扉を拓くことができた。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Anomalous electromagnetic response in the spin-triplet superconductor UTe22022
Author(s)
Yusei Shimizu, Shunichiro Kittaka, Yohei Kono, Toshiro Sakakibara, Kazushige Machida, Ai Nakamura, Dexin Li, Yoshiya Homma, Yoshiki J. Sato, Atsushi Miyake, Minoru Yamashita, and Dai Aoki
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Journal Title
Rev. Rev. B
Volume: 106
Pages: 214525(1-6)
DOI
Peer Reviewed
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