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2020 Fiscal Year Research-status Report

中性子非弾性散乱によるスピノンスピン流の検証

Research Project

Project/Area Number 20K20896
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

益田 隆嗣  東京大学, 物性研究所, 准教授 (90313014)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 浅井 晋一郎  東京大学, 物性研究所, 助教 (00748410)
Project Period (FY) 2020-07-30 – 2022-03-31
Keywordsスピノンスピン流 / スピンゼーベック効果 / 中性子非弾性散乱 / 擬一次元反強磁性体
Outline of Annual Research Achievements

スピン波スピン流はジュール熱損失のない電流に代わる流れとして注目を集めており、逆スピンホール効果による電圧検出によるスピン流研究が盛んにおこなわれている。そこで本課題では、ミクロなスピンダイナミクスを直接観測する分光学的手法により、スピン流の存在を実証することを目指す。具体的には、スピン流により右向き進行波と左向き進行波のバランスが崩れた非定常状態を、スピン動的相関関数の波数に関する非対称性として、中性子非弾性散乱により検出する。測定対象は、スピノンがスピン流の媒体となっている擬一次元反強磁性体BaCu2Si2O7を選ぶ。
2020年度は、熱流を流さない状況下での中性子非弾性散乱実験を行い、反強磁性転移温度TN以下での励起状態が、先行研究を再現するマグノンであることと、反強磁性転移温度以上ではスピノンであることを確認した。さらに、熱流を流す中性子実験の試料準備と測定系立ち上げを行った。非熱流実験では、as-grown結晶を用いればよいので簡便であるが、熱流実験では単位長さ当たりの熱流を大きくする工夫が必要である。そこで、単結晶試料を結晶学的c軸方向に1 mm 間隔でスライスし、10枚の単結晶を結晶学方位が2度以内のズレにおさまるようにX線ラウエ写真測定により揃え、並べた。これを、熱電極となる0.5mm厚のアルミ板で挟み、試料ホルダに固定した。高温側熱電極はヒーターで加熱可能となっており、ホルダとは熱絶縁されている。ホルダにはセルノックス抵抗温度計が設置され、高温側と低温側の2枚の熱電極にはクロメルーコンスタンタン熱電対が設置された。中性子実験に使用する冷凍機において熱流テストを行い、低温側11.5 K、高温側19 Kの温度差がつくことが確認された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

熱流を流さない条件下での中性子実験を行い、再現性は確認された。また、熱流を流す実験の試料準備と測定系の立ち上げは行った。しかし、多数の試料の方位を精密に決定し並べる作業と、熱流を流す測定系の立ち上げに時間を要したため、熱流下での中性子非弾性散乱実験を行うには至らなかった。

Strategy for Future Research Activity

2020年度に用意した熱流下中性子非弾性散乱測定系を用いて、擬一次元反強磁性体BaCu2Si2O7のスピノンスペクトルを測定する。スピン流のために、磁気Γ点に関して+kと-kとでスペクトル強度に非対称性が出現することを検出したい。
中性子実験にはJ-PARC/MLFに設置されたHRC分光器とJRR-3に設定されたHER分光器を用いる。誘起されたスピノンのスピン偏極方向をそろえるために、散乱面に対して鉛直方向に磁場を印加する。予定している測定条件は、(1)T = 15 K、 H = 0 T、(2)ΔT = 7.5 K(高温側:19 K、低温側:11.5 K)、H = 0 T、(3)T = 15 K、 H = 5 T、(4)ΔT = 7.5 K(高温側:19 K、低温側:11.5 K)、H = 5 Tである。

Causes of Carryover

多数の試料の方位を精密に決定し並べる作業と、熱流を流す測定系の立ち上げに時間を要したため、課題遂行に必要な中性子非弾性散乱実験用物品の仕様策定に時間を要した。本年度は速やかに必要物品の発注を行う。

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Published: 2021-12-27  

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