2021 Fiscal Year Research-status Report
Distribution Matching Principle for Machine Learning Based Molecular Simulation
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20K20907
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
櫻庭 俊 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, 主任研究員 (90647380)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 分子シミュレーション / 分子動力学 / 力場 / 敵対的生成ネットワーク / 記号回帰 |
Outline of Annual Research Achievements |
古典分子動力学(MD)シミュレーションは、分子構造を計算機上に再現し計算することで分子の種々の物理化学的特性を解析する手法である。古典MDシミュレーションでは原子間相互作用や原子グループ間の相互作用を記述する力場の関数、ならびに力場関数のパラメータが分子の計算機中での振る舞いを規定するため、適切な力場のパラメータ決定はきわめて重要である。本研究では古典分子動力学法で用いる力場を改良するため、敵対的生成ネットワークおよび記号回帰と呼ばれる機械学習アルゴリズムを利用しパラメータを自動的に決定する新たな力場決定アルゴリズムを開発する。 本研究の目的となるパラメータ自動決定に向けて、2020-2021年度にかけて記号回帰分野での進展が相次いだことから、2021年度から研究の中心を記号回帰にシフトさせる方針変更を行った。記号回帰に基づくMDポテンシャル関数及びパラメータの決定アルゴリズムを実装した。まずは単純なケースとして、各原子への力が明らかであるケースを考慮し、自動微分に基づきポテンシャルと観測された力の間の齟齬を取り除きパラメータを決定するアルゴリズムを実装した。実際に電気力などの単純な関数系で正しく記号回帰の計算が可能であり、パラメータの自動決定が可能であることを確認した。さらに、効率化のために型を用いた記号回帰候補の刈り込みを実装し、幅広い関数系に対して現実的な時間での求解が可能となった。分子動力学シミュレーションパッケージGROMACSから力と座標のペアを出力として与える事で実際に関数を探索可能である。本実装をベースとして、記号回帰ベースの力場探索手法を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
方針変更を行ったこと、およびパラメータ決定パイプラインの実装を0から作り直したため、当初の計画から遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は2021年度に作成した実装を元に、記号回帰プログラムの回帰能力のノイズ頑健性の性能評価とその向上を目指す。さらに、実際に最も単純な粗視化力場として陰溶媒united atomモデルでの力学を回帰により改善することで実用性を示す方針である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの蔓延に伴い、学会および研究打ち合わせに伴う出張がキャンセルされたため、国内・国外旅費の支出が無くなり次年度使用が生じた。加えて、研究計画の方針変更に伴い、大規模計算の予定が繰り延べになったため、計算機レンタルの支出を減少させ次年度使用とした。次年度使用とした研究費は400千円を国外旅費、220千円を国内旅費、980千円をその他(大規模計算のためのスーパーコンピュータ資源のレンタル)に用いることを計画している。
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