2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of a new anti-vibration isolation system for Superconducting detector array towards detection of primordial gravitational wave in future CMB experiment
Project/Area Number |
20K20925
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
長谷川 雅也 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 研究機関講師 (60435617)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 超伝導検出器 / 防振装置 / CMB偏光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、CMB偏光実験による原始重力波探索で重要となる1Hz以下の低周波領域での雑音を低減する手法を確立し、次世代実験における原始重力波の発見能力を格段に向上させる事を目的としている。低周波雑音の主要な要因の一つに、超伝導検出器の振動がある。これを次世代実験に耐えうるレベルに抑えるために検出器の振動レベルを現行実験の1/10以下におさえる事が具体的な目標である。振動源としては主に1)検出器を冷却するための冷凍機の振動と2)望遠鏡のモーター等の振動(検出器システム全体を振動させる)の2つであり、これらを能動的に防振するためのシステムを開発する。 今年度は1)の冷凍機の振動削減のための研究を開始した。まずレーザー変位計を用いて具体的に冷凍機の振動レベルを確認し、振幅として約10マイクロメートルの振動である事を確認した。この変位を十分制御するために、90マイクロメートルのダイナミックレンジを持つアクチュエータの仕様を決定した。また、アクチュエータを制御するための電圧源を準備し、実際にアクチュエータを規定の幅で稼働する事に成功した。次のステップとしてまずは3本での3軸制御(x,y,z)を予定しており、そのための設置用ジグ等の設計とも進めている。これにより防振の原理検証に使用するセットアップが確定し、その準備が完了した。 また、検出器システム全体の防振装置の開発に向けて、低温での振動計の開発を開始した。LEDとフォトダイオードを組み合わせた反射型のシステムを構築し、実際に10Kの環境下でも動作することを確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績で述べた通り、冷凍機防振装置の開発が順調に進んでいる。特に実際の振動レベルをカバー出来るアクチュエータの選定と単体での動作試験が完了しており、原理検証に進むための準備が完了している。特に計画に遅れが生じて居ないため、概ね順調に進展している、とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は冷凍機防振装置の原理検証を行う。最終形として6本のアクチュエータを用いた6軸制御を目指しているが、まずは3本のアクチュエータを用いて防振効果を確認する。ここで想定通りの結果が得られたのちに6軸制御へ進む。並行して超伝導検出器アレイの防振装置の開発を進める。この開発のポイントとしては、低温での防振となることが挙げられる。低温で使用できる市販の振動計は無いため、すでに干渉計重力波実験で確立している技術を転用して実用化を目指す。 今年度後半には、これら防振装置を導入した超伝導検出器アレイを準備し、実際にノイズ削減が達成できている事を確認して効果をまとめる。
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Causes of Carryover |
本研究で開発する防振装置の要は6本のアクチュエータで構成する防振ステージであるが、アクチュエータは精密機器であり、制御をあやまると故障の恐れがあるため、3本での3軸制御を最初のステップとした。残り3本のアクチュエータの購入を次年度としたため次年度使用額が生じた。制御用のエレクトロニクス開発等を前倒して行っており、次年度も含めた研究計画に遅延がない様にしている。
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