2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of a new anti-vibration isolation system for Superconducting detector array towards detection of primordial gravitational wave in future CMB experiment
Project/Area Number |
20K20925
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
長谷川 雅也 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 研究機関講師 (60435617)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 超伝導検出器 / 防振装置 / CMB偏光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、CMB偏光実験による原始重力波探索で重要となる1Hz以下の低周波領域での雑音を低減する手法を確立し、次世代実験における原始重力波の発見能力を格段に向上させる事を目的としている。低周波雑音の主要な要因の一つに、超伝導検出器の振動がある。これを次世代実験に耐えうるレベルに抑えるために検出器の振動レベルを現行実験の1/10以下におさえる事が具体的な目標である。振動源としては主に1)検出器を冷却するための冷凍機の振動と2)望遠鏡のモーター等の振動(検出器システム全体を振動させる)の2つであり、これらを能動的に防振するためのシステムを開発する。 今年度は1)の冷凍機の振動削減のための研究をすすめた。まずは鉛直方向の防振を目的に、3本のアクチュエータをもちいた防振ステージを作成して冷凍機のヘッド部分と結合させ、レーザー変位計でヘッドの動きをモニターしながらそれを打ち消す様に(オープンループにて)アクチュエータを駆動し、振動レベルが1/10程度に抑えられる事を確認した。現在は水平方向およびねじれ等に対する制御もめざし、6本のアクチュエータを用いた防振テーブルを設計中である。また、フィードバック制御を用いた長時間の防振実証を目指して、制御回路の構築も行なっている。 さらに、超伝導検出器アレイの防振のための、低温で使用できる加速度センサーの開発も進めている。まずはLEDとフォトダイオードを組み合わせた反射型のシステムを構築し、低温で駆動する事、また、精密1軸ステージを用いて応答を較正し、防振に十分な分解能を有している事を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績で述べたとおり、冷凍機防振装置の開発が順調に進んでいる。オープンループによる検証が完了し、これからフィードバック制御を用いた長期防振の実証を行うところである。特に計画に遅れが生じていないため、概ね順調に進展している、とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、フィードバック制御を用いた冷凍機防振の長期運用の検証を行い、並行して6本のアクチュエータを用いたセットアップの設計を行なって、6軸制御による防振システム構築の完了を目指す。また、超伝導検出器アレイ自身の防振装置の開発を進める。この開発のポイントとして、低温での防振となる事があげられる。現在低温で(少なくとも安価に)使用できる市販の振動計は無いため、すでに干渉計重力波実験で確立している技術を転用して実用化を目指す。最後に、防振装置を導入した超伝導検出器アレイを準備し、実際にノイズ削減が達成できる事を確認して効果をまとめる。
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Causes of Carryover |
本研究で開発する防振装置の要は6本のアクチュエータで構成する防振ステージであるが、今年度は3本での鉛直方向の防震の実証を行った。残り3本については、昨今の半導体等の供給不足による納期遅延にて年度内に購入する事が出来ない事が明らかになったため、購入を次年度とし、使用額が生じた。制御用のエレクトロニクス開発を前倒しで行っており、全体の研究計画に支障がない様にしている。
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