2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K20931
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 順司 北海道大学, 総合博物館, 准教授 (60378536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鍵 裕之 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (70233666)
石橋 秀巳 静岡大学, 理学部, 准教授 (70456854)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 弾性変形 / 流体包有物 / 鉱物 / ラマン分光分析 / かんらん石 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,流体包有物周辺の放射状応力分布から鉱物の弾性定数を決定する新手法の開発を目的としている.地震波トモグラフィーは地球内部を探る手法の中で傑出した存在感を示している.しかし,その解釈に必要な天然鉱物の弾性定数は未報告のものが多い.精度の高い弾性定数解析法として普及している共振法で天然鉱物が測定対象とならない主因は,解析に必要な試料の大きさが制約となっている.そこで本研究では,残留圧力を持つ流体包有物周辺に発現する応力分布を分光分析によって精密に測定し,応力分布の計算値に照らし合わせることで,サブミリメートルサイズの微小な天然鉱物にも適用できる新たな弾性定数決定法の開発をめざした. 当該年度は,点応力源周辺の応力分布の計算に加え,分光分析装置の波数分解能を向上させる作業に取り組んだ.特に波数分解能についてはsCMOSカメラを導入したことによって,従来のCCDカメラと比べて波数分解能は飛躍的に向上した.また,令和3年度に予定している空間分解能を向上させる作業に備えて,既設装置の空間分解能を測定することができた.これにより,令和3年度に予定している空間分解能向上作業に対して早期に着手することが可能となり,本課題の本丸と言える流体包有物周辺の応力分布の測定についても予定通りに進められる可能性が高まった. 応力分布を測定するための流体包有物の選定も進め,極東ロシアで採取したかんらん岩捕獲岩中のかんらん石から,孤立した球状の流体包有物を複数見いだした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当該年度に予定していた作業は点応力源周辺の応力分布計算と波数分解能の向上措置である.いずれも予定通りに進めることができ,さらに令和3年度に予定している空間分解能を向上させる作業の準備段階にも達したため,当初の計画以上に進展したと言える.
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Strategy for Future Research Activity |
本課題は順調に進展しており,令和3年度に予定している作業にも令和2年度中に着手できたため,予定の完遂に向けてこの調子を維持できるよう努める.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が300,000円発生した理由は,新型コロナウィルス蔓延のため研究代表者と分担者間の往来が困難となり,旅費および合同作業の際に用いる消耗品の調達を次年度に見送ったためである.持ち越した作業は令和3年度に実施する予定であるため,次年度使用額は令和3年度に旅費および消耗品として使用する.
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Research Products
(8 results)