2020 Fiscal Year Research-status Report
Trace of early life in solar system
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20K20937
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐野 有司 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (50162524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊規須 素子 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究プログラム), 特別研究員(RPD) (00518285)
鹿児島 渉悟 富山大学, 学術研究部理学系, 特命助教 (70772284)
高畑 直人 東京大学, 大気海洋研究所, 助教 (90345059)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 初期生命 / 火星隕石 / 炭素同位体 / 窒素同位体 / ラブラドール堆積岩 |
Outline of Annual Research Achievements |
火星隕石ALH84001を光学顕微鏡で観察し、微細な炭酸塩粒(~10-50 μm)が散在することを確認した。顕微ラマン分光分析法を用い、1 μm 以下のスポット径で炭酸塩粒子の炭素の状態分析および平面方向の空間分布分析を行った。その結果、炭酸塩由来の酸化的炭素のバンドに加えて、炭素質物質に特有のDバンドとGバンドも検出されたため、炭酸塩粒子には還元的な炭素も含まれることが分かった。また、還元的炭素が検出されない炭酸塩粒子も存在し、単一の炭酸塩粒子でも還元的炭素の分布には偏りがあったことから、還元的炭素は隕石中および炭酸塩粒子中で不均質に分布すると示唆される。同様に、顕微ラマン分光分析法を使って地球最古の堆積岩の分析も行い、堆積岩中にナノシムス分析に十分なサイズの還元的な炭素を複数発見した。 ナノシムス分析に向けて炭酸塩中の微量な還元的炭素を定量するため、多環芳香族炭化水素(フェナントレンまたはペリレン)の濃度を段階的に変えて主成分の炭酸カルシウムと混合した標準試料を作成し、顕微ラマン分光分析を用いて検量線を作成した。その結果、多環芳香族炭化水素の濃度と炭素質物質に特有のバンドの高さは直線関係を示すことを確認した。さらに、合成した標準試料の一部はナノシムスで分析し、炭酸塩中に微量に含まれる有機物の炭素同位体比を分析する方法を検討し、標準試料の作成に改良が必要であることがわかった。また地球試料および隕石試料を試験的に分析し、粒ごとに炭素同位体の測定が十分できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナウイルスの影響で一部の研究機関が一時閉鎖されるなどの支障はあったが、当初の計画通り岩石試料の顕微ラマン分光分析を実施し、還元的炭素と酸化的炭素を含む試料を発見した。また、ナノシムスを使った炭酸塩中の微量な還元的炭素の炭素同位体を分析する分析条件や標準試料について検討し、基礎的なデータを収集できた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に従って、顕微ラマン分光分析を継続して実施する。また、ナノシムス分析に十分な還元的炭素を含む試料などの優先順位の高い試料から炭素同位体比の分析を実施する。酸化的炭素を含む鉱物の化学組成や年代の測定も並行して実施する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染対策により研究活動が大きく制限され、一部を次年度に繰り越すこととした。全体の使用計画について変更はない。
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Research Products
(5 results)