2021 Fiscal Year Research-status Report
Revolution of sample observation:Non-destructive 3D chemical compositional intensity mapping by innovative X-ray CT technology
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20K20941
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
森下 知晃 金沢大学, 地球社会基盤学系, 教授 (80334746)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | CT画像 / 光子計数型X線CT / ビームハードニング |
Outline of Annual Research Achievements |
岩石の構成鉱物の組み合わせや化学組成、鉱物の形状や配列、周囲の地層・岩層との関係は、その岩石が生成し地表に到達するまでに経験した様々な現象の履歴を記録している。これらの情報を得るために現在、肉眼観察、光学顕微鏡観察、電子顕微鏡観察、蛍光X線分析などによる岩石組織の観察、化学組成分析手法が用いられている。しかし、これらの手法を用いるためには試料を切断、粉砕する過程が必要である。また、岩石を切断面の決定に知識や経験が必要である。この課題を解決するために、非破壊且つ3次元での岩石の観察や分析を行うことが有用である。X線CTとは、非破壊で物体の内部を観察することができる手法である。地球科学の分野においても、X線CTが実用化された1970年代以降、化石・岩石試料などの内部構造を観察・解析した例が多数報告されている。通常のX線CTは透過前後のX線強度の違い、すなわち撮影対象のX線の吸収の程度を利用し、画像再構成を行う。つまり、組成や密度の値が類似した物質同士の相互関係をCT画像上で観察することが難しい。本研究の実績は光子計数型検出器を使用することでX線のエネルギー情報を得ることが可能になった次世代型CTであるフォトンカウンティングCTを岩石試料に初めて応用することを試みていることである。本研究では今の所、実験設備における最適な岩石試料サイズ、形状の検討を行なった。この成果を受けて、これらの最適なサイズ、形状の試料を準備してフォトカウンティングCTを撮影した。特に粉砕したカンラン石及び直方輝石パウダーを用いて測定した結果について詳細に検討した。その結果、全エネルギーを用いて測定された結果よりも低エネルギーで測定した結果(フォトカウンティングCTシステムだからこそ、エネルギーごとのCT値の結果を得られる)の方が、わずかにコントラスがついた画像を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
固体試料における初めてのフォトンカウンティングCTの適応であったが、試料サイズは限定されるものの、全エネルギーを用いた積分CT像よりも、わずかながらコントラストが強くつくエネルギー領域を選定して測定することができた。しかし、当初予定していた新たなシステムの導入が遅れたため、改めて、分析手法の確立とデータ解析について検討しているため、当初の予定より少し遅れていると判断している。ようやく、先日、新たなデータを取得することができて、最適サイズの検討、ビームハードニング効果の検討などが始まったところである。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究では、フォトカウンティングCT法を固体試料に適応する可能性を示唆することはできた。しかし、試料準備の過程(試料の組成や密度の不確定性)におけるデータ精度の問題が課題となった。また、低エネルギー領域を使用してもなお区別の難しい試料へのアプローチおよび岩石試料中の元素分布の3次元的な理解を目的とした元素マッピング手法の確立にも至っていない。そこで、組成と密度がはっきりとした単鉱物試料を用いた標準試料を準備し、CT画像の定量的な評価及び最小二乗法を用い鉱物の密度推定に基づく物質同定に取り組む。現段階では計算で求めることができる理想値と実際の測定値との違いについて検証を進めていおり、より均質なガラス試料などを用いて検証していく予定である。
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Causes of Carryover |
実験機器の導入が遅れたため、実験全体が計画よりも遅れている。
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