2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K20943
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今田 晋亮 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (40547965)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 太陽地球環境 / 太陽フレア / 暗い若い太陽のパラドックス |
Outline of Annual Research Achievements |
地球に生命が誕生したとされる35億年前、標準モデルによると太陽は現在よりも暗く、地球は全球凍結の状態にあり、生命が誕生する事が難しい状態にあったと考えられている(The Faint Young Sun Paradox)。本研究課題では、35億年前の太陽は現在より重く、自転速度も速かった可能性について、太陽地球環境・天文学の方向から考察する。35億年前の太陽風やコロナ質量放出 (CME)等、初期太陽の電磁流体力学現象についてこれまで太陽地球環境・天文学で得られた知見に基づき、The Faint Young Sun Paradoxの解決を試みる。初期太陽が今より数%重かった場合、周辺の分野に与える影響は大きく、これまでの学術の前提を大きく変換・転換させる潜在性を有する。 本研究では、40億年の包括的な太陽圏システムの変動計算でThe Faint Young Sun Paradoxを解決目指す。このため、太陽地球環境システム進化モデルを開発し、この仮説を検証することを行っている。 このモデルは五つからなり太陽地球環境の進化を推定するものである。①太陽表面磁束輸送(SFT)モデルによる全球表面磁場分布の予測、②全球磁場分布から太陽風の予測、③全球磁場分布から太陽フレア・CMEを予測、④全球表面磁場分布(極域磁場)から次期太陽周期活動を予測 、⑤太陽風・CMEから太陽の質量損失・角運動量損失を求め恒星進化 これらのモデル計算により、35億年まえの太陽の質量が今のものより重かった可能性についての示唆を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、40億年の包括的な太陽圏システムの変動計算でThe Faint Young Sun Paradoxを解決目指すため、太陽地球環境システム進化モデルを開発しており、このモデルは五つからなり太陽地球環境の進化を推定するものである。 ①太陽表面磁束輸送(SFT)モデルによる全球表面磁場分布の予測、②全球磁場分布から太陽風の予測、③全球磁場分布から太陽フレア・CMEを予測、④全球表面磁場分布(極域磁場)から次期太陽周期活動を予測、⑤太陽風・CMEから太陽の質量損失・角運動量損失を求め恒星進化 このモデル開発の中で、1、2、および4の部分の開発は概ね順調に進んでいるが、特に3の要素はまだ経験則を用いたものを想定しており、この部分をいわゆるモデル計算そのものから与えることができておらず、将来的な課題である。 一方で、経験則は使うものの一通りの要素はできているので、結合したものを用いて長期間の太陽地球環境変動の再現実験を行うことができる段階にあると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、まずやり残している、モデル計算結果から全球磁場分布から太陽フレア・CMEを確率的に予測し、太陽風・CMEから太陽の質量損失・角運動量損失を求め恒星進化を計算できるようにすることが重要である。その後、五の太陽地球環境の進化モデルを統合して、40億年の太陽地球環境計算を行う。 また、本研究計画では初期太陽が今より数%重かった場合、周辺の分野に与える影響は大きく、これまでの学術の前提を大きく変換・転換させる潜在性を有しており、太陽系の惑星形成、地球以外の惑星大気の進化、月に眠っている砂(レゴリス)の組成等、周辺分野で確立されている観測事実や理論モデルとの整合性について検討する予定であったが、COVID-19の影響などで、これらの議論が十分に行うことはできなかった。こちらに関しても今後研究協力者らと十分に議論していき、本研究で議論している仮説の検証も行っていく。
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Causes of Carryover |
予定していた海外での研究会はCOVID-19の影響で、全て次年度へ延期またはオンラインになったため予算を次年度に使用する。さらに、購入予定であった計算機もCOVID-19の影響で納期などが不透明であり、業者と相談して来年度購入する方が良いという結論を得た。そのため購入は次年度に使用する。
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Research Products
(13 results)