2020 Fiscal Year Research-status Report
Direct estimation of hydraulic and elastic properties from rock pore geometry based on machine learning
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20K20948
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
辻 健 九州大学, 工学研究院, 教授 (60455491)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
實松 豊 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (60336063)
Jiang Fei 山口大学, 大学院創成科学研究科, 助教 (60734358)
平野 靖 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (90324459)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | デジタル岩石 / 機械学習 / 間隙形状 / 弾性波速度 / 電気比抵抗 / 浸透率 / 格子ボルツマン法 / 有限要素法 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)機械学習用データベースの作成:複数の岩石試料のCT画像からデジタル岩石モデルを構築し、数値計算で弾性波速度、電気比抵抗、浸透率を推定した。弾性波速度と電気比抵抗については、有限要素法をベースとした手法を利用して計算した。また浸透率の推定には、格子ボルツマン法を利用した。この一連の作業により、機械学習に利用する教師データ(デジタル岩石群と、それに対応する物性のデータ)を構築することができた。 2)Persistent Homology(PH)の適用:様々な岩石の3次元デジタルモデル(間隙形状)に対してPHを適用し、Persistent Diagram(PD)図を作成した。このPD図は、岩石間隙形状のトポロジーを反映したものとなっている。本研究により、PD図が岩石モデルの弾性波速度(弾性定数)と関係していることや、PD図を用いればフラクチャーの発達をモデル化できることが明らかとなった。 3)機械学習の利用:PD図を機械学習に入力して、弾性特性・水理特性を調べるアプローチについては課題が見つかった。そのため、岩石の間隙形状を直接、機械学習に学習させて弾性波速度を推定する試みを行なった。本研究では、深層学習のモデルの1つであるConvolutional Neural Network(CNN)を用いた。岩石を回転させても弾性波速度は変化しないため、岩石モデルを90 度、180 度、270 度に回転させ、別データとして扱うことでCNNへの入力データを増やした(データオーグメンテーション)。他にも、畳み込み層の数など、多数のパラメータを変化させ、試行錯誤的に精度の検証・向上を試みた。その結果、デジタル岩石の間隙形状から弾性波速度を平均2乗和誤差を約80m/sで推定できることが分かった。弾性波速度の絶対値は3000m/s程度であり、今回開発した手法は実用的であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
機械学習をデジタル岩石に適用して、岩石の弾性波速度を精度良く推定することに成功した。つまり、当初の主目的を達成できたといえる。また本研究課題に関する研究成果の一部を、学会発表や論文として発表することができた。今後は(当初の予定に含めていない)アップスケーリングの研究にも取り組む予定である。 一方で、Persistent Homology(PH)で得られるPersistence Diagram(PD)を機械学習に入力して物性を調べるアプローチについては課題が見つかり、遅れている。このPHを用いたアプローチよりも、デジタル岩石の間隙形状を直接、機械学習に利用する方が、現段階では高い精度で物性値を推定できている。その理由に、我々が使っているPHの情報(PD図)では捉えることができていない間隙の特徴が、物性の推定精度を低下させている可能性がある。例えば我々が使っているPD図(次元)では、岩石間隙の屈曲度を考慮することが難しいが、この屈曲度は浸透率に強い影響を与える。PHの研究は継続するが、このような課題により、今後は間隙形状を直接CNNに入力して、その岩石モデルの物性値を推定する手法の高精度化を中心に行う。
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Strategy for Future Research Activity |
岩石の間隙形状をCNNに直接入力して、その岩石モデルの弾性波速度や電気比抵抗、浸透率を推定する手法の高精度化を行う。 また、当初の予定に含まれていなかったアップルケーリングの課題にも取り組む。これまで本研究で取り扱ってきた岩石モデルは、ミリメートルスケールである。そのため、そのモデルサイズよりも大きな不均質構造を反映した物性を推定することができないという課題があった。そこで、本研究で開発した手法(機械学習をデジタル岩石に適用)を応用することで、ミリメートルスケールの物性値をメートルスケールにアップスケーリング手法の開発も試みる。なお、この研究ではメートルスケールの岩石コア試料のCT画像データも利用する。
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Causes of Carryover |
コロナにより、研究に関わる出張や学会がオンラインになり、旅費の支出がなくなった。コロナの状況を見通すことは困難であるため、計算環境の整備に充てる。
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Research Products
(12 results)