2020 Fiscal Year Research-status Report
力学的自己組織ナノコイル網による光メタマテリアルの創製
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20K20954
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
村岡 幹夫 秋田大学, 理工学研究科, 教授 (50190872)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | ナノ材料 / 金属ナノコイル / メタマテリアル / 光学的性質 / テンプレート / 真性応力解放 |
Outline of Annual Research Achievements |
独自の金属微小コイルウェブ自己組織化形成法を発展させ、可視光波長より小さい径のコイルの創製および光メタマテリアルへの応用を目指す本研究の令和2年度の実績を以下にまとめる。 1.当初、テンプレートとなる電界紡糸樹脂ナノファイバに対してプラズマエッチング細線化を試みたが、細線化効率や品質の悪さの問題が明らかとなった。そこで、逆の発想により、あえて太い樹脂ナノファイバ(直径500nm以上。従来は300nm)を利用し、これに金属スパッタ膜を堆積させ、断面が従来の円弧状ではなく、ライン状のリボン金属ウェブを作製した。テンプレート樹脂部の熱分解除去により、当該リボン金属薄膜は、自身の真性応力の解放により、「こより」のように捻じれた螺旋ナノ構造体を形成することを見出した。ナノ「こより」のコイル径は、500nm程度まで減少していることも確認している(従来の金属ナノコイルのコイル径は1000nm~10,000nm)。現在、白金をもとに金属膜厚やテンプレート樹脂ファイバ径の最適条件を探索している。 2.テンプレイートとなる樹脂ナノファイバウェブの面密度を安定的に再現できる電界紡糸条件を見出した。特に冬季の乾燥時期においては、電荷紡糸装置内の湿度(水蒸気圧)を十分に確保してやることが再現性の点では重要である。 3.樹脂ナノファイバの材質としてPVA(ビニルアルコール)を利用してきたが、熱分解時の残渣の問題がある。残渣が極めて少ないアクリルを用いた電界紡糸条件を明らかにした。固化したアクリルファイバが脆いためにハンドリング時の破損が顕著であったため、アクリル溶液への可塑剤の適切量添加が重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
テンプレートとなる樹脂ナノファイバの減肉細線化を試みてきたが、難航した。その対応として、逆発想の太いナノファイバを利用した。これに極薄い金属スパッタ膜堆積を行うことによって、直径が500nm程度のリボン状金属膜の螺旋状ナノ構造体の作製に成功した。 以上のように逆発想の解決策に辿り着くまでに時間を要したため、計画にある直径200nm以下の金属コイルの作製やその透明シート化まで至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、太い樹脂ナノファイバウェブを用いて、リボン状の薄膜金属を堆積させる手法に、軌道修正した。これにより、計画にある2次元光メタマテリアルや3次元光メタマテリアル用分散材の作製に目途がついた。当該軌道修正により、今後は研究を着実に推進できる。
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Causes of Carryover |
当該年度の研究が、計画よりもやや遅れたため、2次元光メタマテリアル作製費や評価費用等が未使用となった。すでに、遅延に至った課題への対応策を見出し、計画遂行に目途が得られている。そのため、繰り越しの研究計画内容を実施することができ、次年度使用額を使用する予定である。
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Research Products
(3 results)