2020 Fiscal Year Research-status Report
A device for identifying nanometer-order foreign objects and its materials on silicon wafers
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20K20955
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
荒木 幹也 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (70344926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GONZALEZ・P JUAN 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (30720362)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | ナノ粒子 / 粒子径 / 材料同定 / 偏光 / 非接触 |
Outline of Annual Research Achievements |
半導体の回路パターン高集積化は極限まで進み,現在その配線幅は10 nmオーダまで超微細化している.ウエハ上に「10 nmの異物」があれば,それはそのまま「不良品」を意味する.一方でナノサイズの物質同定は困難を極め,「いつ」「何が」付着したのかが分からない.異物の「材料」が特定できれば付着が起こった工程の特定につながり,生産効率の飛躍的向上につながる.新たな異物の付着につながるため,ウエハに触れることはできない.本研究では,半導体製造プロセスにおいて,「非接触」で異物の「サイズ」と「物質(材料)」を「同時決定」する手法の確立を目論む. 2020年度は,光学系の構築を行い,最初のデータを取得することができた.ウエハ表面あるいは洗浄液中にランダム偏光を入射する.異物があれば,散乱光が放射される.これを散乱角度θに設置した計測部で取得する.散乱光に含まれる縦横の偏光成分の強度比は「偏光比ρ」と呼ばれ,「ミーの散乱理論」に基づいて「粒子径」「屈折率」「散乱角度」の関数で与えられる.異物からの散乱光の偏光比ρを実験的に計測し,その値をミーの理論解と比較することで,これらを決定できることになる.ここで問題が生じる.異物の材料は多くの場合不明であることである.典型的な研磨粒子である「二酸化ケイ素」と「二酸化チタン」のいずれかが異物としてウエハに付着しているとする.この場合,材料も粒径も特定できなくなる.そこで,「もう1つの波長」を用いる.波長が変わると理論解は横軸方向にシフトし,偏光比の実験値も変化する.新たに複数の交点が現れる.ただし計測対象は「同一粒子」のはずである.多数の交点の中でひとつだけ,両波長の解が一致する.こうして異物の材料と粒子径が一意に決まり,「非接触」「ナノオーダ」「材料同定」を同時に実現する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,おもに2つのデバイス開発が行われる.1つ目は「ウエハ上の異物検出デバイス」であり,もう1つは「洗浄液中の異物検出デバイス」である.原理は両者とも同じであるが,気相中(あるいは真空中)での異物検出と,液中での異物検出という大きな違いがある.研究開始が2020年8月となり期間が大幅に短縮されたことから,洗浄液中の異物にフォーカスを絞り研究を展開している.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では,おもに2つのデバイス開発が行われる.1つ目は「ウエハ上の異物検出デバイス」であり,もう1つは「洗浄液中の異物検出デバイス」である.原理は両者とも同じであるが,気相中(あるいは真空中)での異物検出と,液中での異物検出という大きな違いがある. 計測法の確立と,半導体製造プロセスに特化したノウハウを得ることを最優先とする.このため,研究リソースを洗浄液中の異物検出に振り向ける.計測原理は同様であるが,石英セル中に薬液に見立てた超純水を封入し,そのなかに浮遊する異物を検出することとなる.石英セルでの光の屈折が大きな問題であり,その対策を行う. 研究代表者は,原型となった「多波長偏光比法」を考案し,実用化のための研究開発を続けてきた.現在同計測法は,火炎中の「ナノ微粒子(すす粒子の初生)」計測に成果をあげている.計測法運用のノウハウと,多波長光源・偏光カメラ等の高額設備をすでに保有する.これらを最大限活用し,早期の成果創出と予算縮減を目指す.
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Causes of Carryover |
コロナ感染拡大に伴い研究開始が2020年8月まで遅れ,ウエハ上の異物検出と洗浄液中の異物検出のうち後者に研究リソースを振り向けている.次年度以降も,計測法確立とノウハウ集積を最優先とする.このためサンプル粒子のバリエーションを当初より大幅に増やしより実践的な計測法として昇華させることに投資することを計画している.
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