2021 Fiscal Year Research-status Report
Mechanistic study of impact penetration of two-dimensional materials due to high-velocity injection of nanoparticles
Project/Area Number |
20K20966
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
米津 明生 中央大学, 理工学部, 教授 (40398566)
|
Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
|
Keywords | ナノ・マイクロ材料力学 / 衝撃貫通破壊 / 二次元原子薄膜 / ひずみ速度依存性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では代表的な2次元材料である単層グラフェンに対するナノ細孔の加工技術を開発し,ナノポーラスグラフェンを創製することを目的とする.具体的にはナノ粒子を高速でグラフェンへ衝突させて貫通させることにより,ナノ細孔を形成させる.すなわち,ナノ粒子貫通の破壊現象を加工技術として用いる. 前年度に開発したレーザーインパクト法の高度化を実施した.本手法は強力なパルスレーザーによるアブレーション源によってナノ粒子やマイクロ粒子を高速射出させる技術であり,粒子発射台の改良やアブレーション源の最適化を行うことで,高速度カメラで計測したところ500m/s以上の速度に達することが分かった.前年度実施していたバルク金属材料の検討を進めて,その成果を国際学術誌(査読付き)へ投稿した.さらには,耐衝撃性に優れたポリカーボネートについても実験を行い,大きなひずみ速度依存性を有することを明らかにできた.すなわち,超高速領域なると鉄や銅などの純金属よりもポリカーボネートは高い降伏応力を発現することが実験的に明らかとなった.さらに分子動力学計算(MD計算)を用いて,このポリカーボネートの変形速度依存性の解析を行い,分子鎖の変形過程からひずみ速度依存性の発現メカニズムを明らかにした.学会発表として,このレーザー技術の開発とポリカーボネートの衝突速度による変形速度依存性を公表する予定である.また,多層グラフェンに対してナノ粒子の高速な衝突破壊現象を計算力学的に再現することを可能とし,グラフェンの層数と粒子の衝突運動量の関係などを明らかにすることで,最終実験の指針を得た.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画とおり,粒子射出の発射台の開発が完成しつつあり,想定していた飛翔速度が得られている.また,変形速度依存性が顕著なポリマーの検討などの研究にも展開でき,本手法の有用性を示すことができた.
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの進捗と計画に基づいて研究を進めていく予定である.本技術の達成においては粒子の飛翔速度の計測が不可欠である.高速度カメラによる測定は前年度に行えているが,さらなる高速化,そして粒子の微小化も研究対象となるため,新たな速度計測法の実現が必要と考えている.その技術を模索することを計画している.また,レーザーアブレーションによる発射台の飛散防止,さらには粒子の真直な飛翔のためにピンホールの導入など,装置の改良を進めていく.また粒子の配列に関する研究も必要であり,射出前のナノ粒子の配列が,貫通孔(ナノポア)生成の配置に大きく影響する.そして最後にナノ粒子とグラフェンに関する研究を行うことで本研究課題の達成を目指す.
|
Causes of Carryover |
本年度の実験状況によって消耗品費である試料の格納ケースなどが不要となり,次年度に持ち越すこととなった.次年度は最終年度であるため,より多くの試料に対する実験を進めてる予定であり必要である.
|