2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K20967
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
大園 拓哉 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (40344030)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
則包 恭央 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究グループ長 (50425740)
|
Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
|
Keywords | トライボロジー / 液晶エラストマ / 付着 / ゴム複合体 / 力学物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
トライボロジィ特性を中心とした能動的な表面機能変化のため、刺激応答性の液晶エラストマに着目している。液晶エラストマはゴム弾性体の一種であり、液晶状態では内部に分子配向性をもつが、熱や光刺激を加えて等方相にすると、その配向性を失い、通常のゴム状態になる。この時、分子配向性がポリマー構造と関連するため、相転移時に部材形状が変形できるうえ、粘弾性特性も大きく変わる。これらの変化を上手く使って他の材料との複合化も通じて摩擦・付着をアクティブに大きく変えることが本研究の狙いである。その実現にむけ、この液晶エラストマの刺激応答変化で接触界面の状態変化を起こすべく材料表面デザインとその最適化を行うことを目指している。 2年目は、互いに関係する個別計画課題のうちで鍵となる液晶エラストマ部材の基礎物性把握の継続が必要となったため、特にアゾベンゼン骨格を有する光応答性分子をポリマーネットワーク主鎖に直接組み込んだ主鎖型の液晶エラストマの合成と、その光による力学物性の制御に関する知見を得た(論文2報)。ネマチック相でのエラストマ部材の粘弾性や力学的特性(応力―ひずみ曲線)は適切な光照射の後に等方相に相転移することで、大きく変化し、付着を変えることを確認した。また、組み込む分子によっては、結晶化が起こり、形状記憶ポリマーのような性質が現れることも分かった。光による分子構造自体やその変化が、その相の性質や相転移にどのように相関するのかは、付着力の大きさや、その変化のダイナミクス(応答速度等)にも関係するため、基礎物性として重要な知見を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初2年目に予定していた、互いに関係する個別の計画課題、①液晶エラストマの相転移挙動の制御(初年度~2年目)、②液晶エラストマの光刺激応答性の付与(初年度~2年目)、について確実な進捗を得ている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2年目の成果である、光による相転移の誘導の結果の付着力の可逆変化を生み出す分子-部材設計知識および、液晶エラストマの粘弾性の基礎物性であるネマチック相での特徴的な履歴的挙動の知見に基づき、当初の3年目以降の計画である、液晶エラストマの力学的強化(2年目~3年目)、トライボロジィ機能を発揮する織布等との複合化のデザイン(2年目~3年目)の実現に向け、今後はそのポリマーネットワーク主鎖に直接組み込む色素の化学構造が、その基礎力学物性、粘弾性および付着力の光応答性にどのように影響するかを確認する。さらに、その材料系と高い力学強度のある織布との複合化、もしくは、光照射パターンに応じた材料強度の向上や表面凹凸構造形成等を試み、トライボロジー制御を中心に、力学素子、光学素子機能の発現を目指す。
|
Research Products
(7 results)