2021 Fiscal Year Research-status Report
白色X線回折深部顕微鏡法による凝固冷却中の内部応力の動的測定への挑戦
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20K20968
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
豊川 秀訓 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 放射光利用研究基盤センター, 特別嘱託研究職員 (60344397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 賢治 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (30154537)
菖蒲 敬久 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, サブリーダー (90425562)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 白色X線回折 / X線応力測定 / 材料深部顕微鏡法 / 2次元検出器 |
Outline of Annual Research Achievements |
この四半世紀を見ると、シミュレーション技術の進歩により、材料の変形や応力の挙動もリアルかつビジュアルに表現できるようになった。新たな製造・加工方法の出現と相補的にかみ合いながら、革新的な製品が創出されていることは論を俟たない。しかし、溶融・凝固過程を実際に観察し、その現象からメカニズムを理解することは、遅々として進んでいない。本研究においては、白色X線回折による材料深部顕微鏡法を開発し、溶接直後の凝固冷却中の応力の動的測定に挑戦する。これまで報告事例がない高温割れが発生する高温領域のひずみを実測する本申請は、シミュレーションから直接観察によるメカニズム解明へと、材料科学の方法論の変革・転換を図り、これによる新機能材料開発を飛躍的に発展させる。 白色X線マイクロビームを用いる本手法は、回折条件に合致した波長成分による回折が必ず得られ、サンプルの形状・サイズに制限ないことが特長で、溶融・凝固過程観察だけでなく、これまで困難であった様々な実材料のオペランド計測を実現するポテンシャルを有する。実験は大型放射光施設SPring-8のBL14B1で実施した。このビームラインは、高エネルギー白色X線と単色X線を切り替えて実施することができることが特長で、当初予定していなかった高エネルギー単色X線(70, 80, 90kev)利用した測定を相補的に実施して総合的な評価を行い、第55回X線材料強度に関するシンポジウムにおいて発表を行った。また、応力決定の精度を向上させるための、2次元検出器のエネルギー構成法の開発を行った。ただし、半導体不足による検出開発の遅延の影響により、溶接装置による実証実験は、計画期間を1年延長して実施することとし、研究計画を修正した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大型放射光施設SPring-8のBL14B1において、高エネルギー白色X線及び単色X線を用いた溶接材料深部の静的観察を実施し、主要な検出器開発及び解析ソフトウエア開発を計画通り完了した。ただし、検出器と溶接機との連動による動的観察に必要な制御装置開発は、半導体不足による遅延が発生しており、計画期間を1年延長して集中して実施することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
大型放射光施設SPring-8での本実験に向け、当初は予定していなかった単色X線を利用した測定を相補的に実施して実施計画を発展させる。最終的に高エネルギー放射光を用いた材料深部顕微鏡法を開発し、溶接直後の凝固冷却中の応力の動的測定に挑戦する。これまで報告事例がない高温割れが発生する高温領域のひずみを実測する本申請は、シミュレーションから直接観察によるメカニズム解明へと、材料科学の方法論の変革・転換を図り、これによる新機能材料開発を飛躍的に発展させる。
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Causes of Carryover |
動的観察に必要な検出器と溶接装置との連動制御開発については、半導体不足による遅延があり、研究期間を1年間延長し集中して実施することとした。
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