2021 Fiscal Year Research-status Report
プラズマを利用したキャビテーション気泡内圧力・ガス種リアルタイム同時計測
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20K20969
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 岳彦 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (10302225)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 気泡 / 圧力 / 放電 / パッシェンの法則 / 平行平板電極 / 分光 / 水素 / 酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,単一キャビテーション気泡の気泡崩壊時に発生する衝撃波,化学反応,発光などの物理現象を支配する重要な因子である気泡内圧力やガス種を実験的に計測する手法の開発ならびに計測による新しい知見の獲得を目的とする.令和3年度は,令和2年度に開発した放電現象を利用した新しい圧力測定法で得られた圧力値の精度を向上させるために,2本の平行に設置したワイヤ電極間の放電から,2枚の平行に置かれた平板状電極間の放電を用いる方法の開発を進めた.これは,ワイヤに垂直方向の非一様電界の影響を排除するためである.最初に,ガラス表面に電極材を設置し,その一部に微小孔を形成し,気泡生成用のレーザー光を透過させ,対向するステンレススチール製の電極表面にレーザーを収束することで気泡を発生させる手法を試みた.この手法は完全に平行平板電極となるため一様電界の形成が可能で精度が向上する.しかしながら,ガラスを透過し対向電極に収束させたレーザーでは十分に大きな気泡生成に至らなかった.そこで,電極表面形状を収束するレーザーが外側から入射できる程度に湾曲させる方法に改良し,平行平板電極間に形成される電界と概ね同じ電界を形成することに成功した.この手法により圧力計測を進めたところ,ワイヤ電極間で得られた圧力と概ね同じであることが検証できた.また,レーザー誘起気泡内で放電を発生させその発光分光を行った.発光分光はゲートトリガー付きの高感度分光器を利用した.これより,水蒸気を起因とする水素原子や酸素原子の発光を確認することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)レーザー誘起気泡内で放電をさせ,膨張中の気泡内で放電開始電圧の計測を可能とし,気泡内圧力の推定に世界で初めて成功した.平行する2本のワイヤ電極の精度を高めるため,一様電界の形成が可能な平板状電極で放電を行う装置を新たに開発し,計測した圧力が概ねワイヤ電極を用いて推測した圧力値と同じであることを確認した.(2)ガス種特定のため,令和2年度に準備した気泡内放電分光装置を用いて気泡内に水蒸気由来の水素原子と酸素原子が存在することを確認した.(3)ガス種の定量解析については,新しい計測法で測定した気泡内圧力と各種ガスの発光強度比から水蒸気量の定量的推定が可能になった.(4)現象の一般化については,令和2年度に開発した気泡が最大となるときの圧力の推定法の検証を進め,精度向上に成功した.以上の成果より,研究はおおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は,ストリークカメラに分光器を設置し,リアルタイムで発光状態の変化を高感度で計測する手法を開発する.気泡内の発光を容器の外から計測するのではなく,気泡内で捉え計測する光ファイバーを用いた計測プローブを用いて,容器外で観察したときに検出できなかった発光を検出できるシステムを構築する.この計測では,発光分光だけでなく,気泡内にレーザー光を入射しそのラマン散乱光を分析することで,より高精度のガス分析を行うことを計画している.また,溶存空気をアルゴンや二酸化炭素などで置換し,気泡内にそれらのガスが包含されるかどうかについて検証し,溶存ガスがレーザー誘起気泡内に包含されるもしくは包含されないメカニズムを考察する.レーザー誘起気泡内に溶存空気由来の窒素ガスが含まれていないことが検証できれば,世界で知見されていない新しい発見であり,キャビテーション研究の貴重な基礎データを提供することができる.
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Causes of Carryover |
令和3年度において,高速で高感度に計測できる既存のストリークカメラに分光器を装着し計測することを計画していた.当初,気泡内に溶存ガスが含まれると考えていたが,溶存ガスが含まれない可能性が出てきたため,より高精度なガス種特定のためのラマン散乱光計測ならびに光ファイバーを用いたプローブ計測法を取り入れることとした.そのため,令和3年度はラマン散乱光分析に必要な発光分光波長域の特定を優先し,令和4年度に研究計画を延長し購入することとした.
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] Formation and Measurement of Plasma Fine Bubbles2021
Author(s)
Takehiko Sato, Satoshi Uehara, Ryo Kumagai, Takashi Miyahara, Masanobu Oizumi, Tatsuyuki Nakatani, Shiroh Ochiai, Takamichi Miyazaki, Hidemasa Fujita, Seiji Kanazawa, Kiyonobu Ohtani, Atsuki Komiya, Toshiro Kaneko, Tomoki Nakajima, Marc Tinguely, Mohamed Farhat
Organizer
12th Asia-Pacific International Symposium on the Basics and Applications of Plasma Technology (APSPT-12)
Int'l Joint Research / Invited