2020 Fiscal Year Research-status Report
細胞実験と数値流体力学の統合的手法による細胞質分裂における細胞の力学状態の解明
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20K20974
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
今井 陽介 神戸大学, 工学研究科, 教授 (60431524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沼山 恵子 東北大学, 医工学研究科, 准教授 (30400287)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 計算生体流体力学 / 数値流体力学 / 細胞実験 / 計算バイオメカニクス / 細胞質分裂 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は,我々が開発してきた細胞の流体構造生化学連成計算を基盤に,細胞実験と数値流体力学の統合的な手法によって,細胞質分裂における生体分子,細胞,細胞環境の力学状態を明らかにすることである.そのため,高転移性乳がん細胞株(MDA-MB-231)にGFPを発現させ,二光子顕微鏡を用いて,細胞質分裂過程の三次元ライブイメージングを実施する.また,細胞接着,細胞骨格,細胞膜に関する生化学的相互作用とこれらに起因する力の発生,および流体力学を連立する流体構造連成問題として,細胞質分裂の数理・計算モデルを開発する.2020年度は,タリンGFPを発現させたMDA-MB-231の細胞質分裂過程の三次元ライブイメージングを実施した.細胞質分裂の過程では,細胞の赤道上に収縮環が発生し,細胞骨格分子であるアクチンとモーター分子であるミオシンが収縮力を発生する.収縮力を細胞膜に伝えるためには,細胞骨格と細胞膜をつなぐリンカーが必要であるが,その実体は十分明らかでない.ここでは,アクチンとインテグリンをつなぐタンパクであるタリンに着目し,タリンGFPを発現させたMDA-MB-231の細胞質分裂過程を観察した.また,免疫染色を用いてタリンとタリンGFPの局在を調べた.これらの実験により,タリンGFPの発現によってMDA-MB-231の細胞質分裂の動的な挙動が変化すること,タリンとタリンGFPの分布が異なることを示唆する結果が得られた.現在,これらの結果を定量的に解析するとともに,計算モデルを開発している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では,三次元ライブイメージングにおいて細胞質分裂の過程を捉える確率は高くないため,研究2年目の2021年度も多くの細胞実験を予定していたが,研究分担者と研究協力者の努力によって,第一段階の解析を進めるのに十分な実験データが既に得られたため.
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Strategy for Future Research Activity |
ここまでに得られた実験データの解析を進め,タリンGFPの発現によって細胞質分裂過程の細胞挙動に変化があるのかメカニズムとともに明らかにする.
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Causes of Carryover |
次年度使用額は,今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である.2021年度請求額と合わせ,2021年度の研究遂行に使用する.
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