2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K20987
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
金子 真 名城大学, 理工学部, 教授 (70224607)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 赤血球変形能 / マイクロ流体チップ / 人工毛細血管 / 脳活性度 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳活性を維持するためには、脳細胞に絶えず酸素を運び続ける必要がある。この酸素は赤血球の中に存在するヘモグロビンにより体中に運搬される。直径8マイクロメートル程度の赤血球が血管内で最も通りにくくなるのは直径3マイクロメートル程度の毛細血管を通過するときである。両者の直径の違いから赤血球が毛細血管を通過するときには赤血球が折り曲げられた状態になる。したがって赤血球変形能が低下すると赤血球が毛細血管を通過する速度が低下し、脳神経に潤沢に酸素が供給されなくなり、結果的に脳活性度が下がることが予想される。一方、ヒトの赤血球には核がないが赤血球に分化する直前の赤芽球には硬い核が存在している。申請者らは人工毛細血管を使って赤芽球と赤血球の変形能を調べ、無核の赤血球はスムーズに通過するが、有核の赤芽球は人工毛細血管入口で詰まってしまう場合があり、両者の間に歴然とした差が現れることを見出した。この結果を踏まえ申請者はヒトが進化の過程で変形しにくい核をキックアウトし、赤血球変形能を向上させたことで脳神経細胞に酸素を潤沢に運べるようになり結果的に脳が進化したという仮説を立てた。本研究の目的は、脳活性度と赤血球変形能との相関を調べることで、脳科学、医学、工学の学際領域で新しい学術分野を創成することに挑戦することである。赤血球変形能計測には毛細血管血流スコープ(GOKO Bscan-z:2020年度購入)を用いる方法やマイクロ流体チップ内を流れる赤血球速度を高速カメラ(ハイスピードカメラ:2021年度購入)で評価する方法等がある中で、ここでは定量的評価のし易さからマイクロ流体チップ内の赤血球速度を高速カメラで評価する方法を採用し、定量的データ取得に成功している一方で脳活性度はfMRI(磁気共鳴機能画像法)を用いた評価方法が使えるところまでは着想できたものの定量的評価には至っていない。
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Research Products
(3 results)