2020 Fiscal Year Research-status Report
六方晶窒化ボロン半導体の直接遷移型化と深紫外励起子発光ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
20K20993
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
秩父 重英 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (80266907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 和彦 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (80202266)
小島 一信 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (30534250)
嶋 紘平 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (40805173)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 窒化ボロン / 間接遷移 / 直接遷移 / 深紫外線 / 時間分解分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
六方晶層状窒化ボロン(h-BN)は禁制帯幅約6eVの超広禁制帯幅(UWBG)半導体であり、間接遷移型半導体ながら230 nm以下の発光を呈すため深紫外(DUV)光源用材料として期待できる。ごく最近単一原子層h-BNの禁制帯が直接遷移型となる事が報告されたが、検証する基礎研究が必要である。しかしながらUWBG半導体のパルス励起は困難であり発光ダイナミクス研究自体が極めて少ない。本研究の目的は、単層h-BNの発光機構を明らかにすることである。2020年度は以下の項目を実施した。 (1)炭素混入を抑え高純度h-BNをエピタキシャル製膜するため、ハイドライドCVD装置をホットウォール型からコールドウォール型に改良し、ヒーター材もグラファイトからタングステンに変更した。この結果炭素濃度が大幅に低減され励起子発光の相対強度が増大した。また、ガス流に対する基板の角度を精密に制御する機構を導入して気相反応を抑制し、比較的高い基板温度(1300 ℃)でも表面モフォロジーが改善された。今後はこれらの成果を基礎として単層h-BNの作製を進める。 (2)発光機構解明に用いるフェムト秒パルスDUVレーザの光学部品を刷新し高出力化と安定化を行い、h-BNの時間分解フォトルミネッセンス測定を7~300 Kで実施して励起子発光ダイナミクスの温度依存性を取得した。 (3)フェムト秒パルス電子線を用いる時間分解カソードルミネッセンス(CL)計測の予備実験として連続電子線による広域CL測定を実施した。1μm厚のBN薄膜に加え、従来6層以下では計測が困難であった単層h-BNのCL測定を実現した。 (4)フェムト秒パルス電子線を集束して用いる時間・空間同時分解蛍光計測系に電子線減速機構を付加して低加速電圧計測系を立ち上げ、h-BN薄膜の空間分解CL測定を行った。また、(5)発光効率定量装置の開発を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は材料開発と装置の整備が目的であり、交付申請書に記した実施計画どおり研究が進展した。従って、(2)の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書に記載した実施計画どおり、静大原和彦教授グループは低炭素濃度単層h-BNの製膜を行い、東北大は時間分解や空間分解発光計測を行って励起子の輻射・非輻射再結合寿命の温度依存性や空間不均一性を定量化する。これにより発光機構を解明し、それらデータを原教授にフィードバックして結晶成長の最適化の指針を与える。研究を阻害する課題は特にない。
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Causes of Carryover |
2020年度の研究遂行上、「物品を購入して実施遂行する実験」の無計画な先行よりも、「代表者や共同研究者の頭脳考察を必要とする物理学的な考察と方針の見直し」を先行させたため、実験関係の予算消化が当初予定よりは遅れている。ただし、研究分担者による結晶成長は予定通り進行しており、それら試料群の静的発光スペクトル計測や時間分解発光計測による測定結果も得られ始めており、それらに基づく考察から結晶成長へのフィードバックも進めてきているので、予算消化は予定通りに終了する。
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Research Products
(3 results)