2022 Fiscal Year Annual Research Report
Specific and highly sensitive detection of volatile organic compounds by complex surface plasmon sensors with DNA aptamers
Project/Area Number |
20K20996
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
清水 大雅 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50345170)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | SPRセンサ / 複素屈折率 / 揮発性有機化合物 / DNA / グラフェン |
Outline of Annual Research Achievements |
気相中の揮発性有機化合物を特異的高感度で検出するために、分析物の複素屈折率に着目した複素表面プラズモン共鳴(SPR)センサの実現・感度向上と、金属表面へのDNAの固定化によるガス分子の選択的検出を試みた。金薄膜の膜厚を基板面内で変化させたくさび型構造をもつSPRセンサを作製し、波長633 nmの赤色発光ダイオードの光から光を入射し、反射光輝度の角度依存性の経時変化を集光レンズと5メガピクセルのカメラの組み合わせにより測定し、様々な種類・濃度をもつガスを入力した時の反射光強度の時間推移を10秒おきに測定した。構築した測定系の角度分解能は1ピクセルあたり0.0047度となり、8.2x10^(-5)の屈折率分解能を達成した。得られた一連の画像から信号を最大化する入射角度と金の膜厚を求める手順を確立した。また金薄膜の表面にグラフェンを転写する手順を確立し、濃度7 ppbのサリチル酸メチルの検出、および、脱離の観察を実現することができた。六員環をもつ分子とグラフェンの間に働く分子間力のπ-π相互作用を利用して、サリチル酸メチルと2-ブタノールの選択的検出を実現した。 また、空間分解能が優れる波長430 nmの青紫色発光ダイオードを導入し、アルミニウム薄膜をセンサチップとして、濃度0.95 ppmのエタノールガス、濃度1.9 ppbのサリチル酸メチルガスの検出に成功し、赤色発光ダイオードを光源とした場合と比較して1桁の増幅特性を達成した。 今後、サリチル酸メチルを認識するDNAの固定化やグラフェン転写との組み合わせ、青紫色発光ダイオードを光源とした光学系を組み合わせて構築することで生物の嗅覚(濃度0.1~1 ppb)に迫る高感度検出の実現が見込まれることを明らかにした。
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