2020 Fiscal Year Research-status Report
液中プラズマ・エレクトロスプレー併用反応場による貴金属レス水素化反応触媒合成
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20K20997
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
竹内 希 東京工業大学, 工学院, 准教授 (80467018)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 液中プラズマ / 微小気泡 / エレクトロスプレー / 炭素触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機溶媒中で生成した液中プラズマによるナノ炭素材料合成プロセスにおいて,液中の気泡の存在は,放電の形成および合成された炭素材料の諸特性に影響すると考えられる。本年度は,ノズルを通して供給する流体を電界印加によって微細化するエレクトロスプレー法を,液中の気泡の微細化へと適用した。 始めに,超純水中にノズル電極と対向電極を設置して,ノズル電極を負極として直流高電圧を印加した。ノズルを通して空気を供給し,気泡径を高速度カメラを用いて観測した。ノズル内径0.15 mm,流量80 μL/minの条件では,電圧印加なしのときの気泡径は520 μm程度であった。気泡径は直流電圧絶対値の増加に伴って減少し,最小で80 μm径程度の気泡が観測された。また,印加電圧を固定して流量を変化させたところ,ある流量において極小値をとる傾向が得られた。 続いて,有機溶媒であるキシレン中で同様の実験を行った。印加電圧に対して気泡径が減少したが,観測された最小気泡径はおよそ420 μmであった。 電圧印加がないときは,気泡径は表面張力と浮力のバランスで決定される。ノズルに電圧を印加すると,電気流体力学効果によって電界により発生する流体運動と,帯電した気泡に働く誘電泳動力が浮力の方向に作用し,気泡の微細化がなされる。特に電気流体力学効果は,流体の誘電率が大きいほど働く力が大きくなることから,比誘電率の大きい超純水の場合により気泡の微細化が可能となったと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
エレクトロスプレー法による気泡の微細化に成功し,印加電圧,気体流量に加えて,誘電率や表面張力が気泡径に大きな影響を与えることを見出した。また,キャビテーションを用いた気泡発生など,他の手法の検討も進めており,次年度の液中プラズマ生成および材料合成実験に向けて必要となる知見の蓄積は進んでいる。ただし,新型コロナ感染症の影響により実験時間が限られたことから,印加電圧極性や有機溶媒の種類,その他各種パラメータを変えた実験が不足しており,進捗状況は予定よりもやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
エレクトロスプレー法による気泡微細化において,各種パラメータを変えた実験を行い,キシレンやアニリンといった各種有機溶媒中での最小気泡径と,気泡径の制御性を明らかにする。同時に,キャビテーション法を用いた微細気泡供給法も試行し,それぞれの特性を明らかにする。 有機溶媒中に微小気泡を供給しながら液中プラズマを発生してナノ炭素材料を合成し,その材料特性の変化を調査する。また,電極にニッケルを用いて,ニッケルナノ粒子の炭素材料へのドープを試みる。こうして合成した炭素材料を用いたグルコースの水素化反応実験を行い,炭素材料特性と触媒性能の関係を明らかにする。得られた知見を元に合成パラメータを最適化して,従来の触媒を超える触媒性能を達成する。
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Causes of Carryover |
有機溶媒使用量が予定よりも少なかったため,次年度使用額が生じた。次年度に有機溶媒購入費として使用する。
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Research Products
(2 results)