2020 Fiscal Year Research-status Report
High-speed and three-dimensional measurement of ultrasonic wave propagation with nanometer-order precision
Project/Area Number |
20K21001
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
粟辻 安浩 京都工芸繊維大学, 電気電子工学系, 教授 (80293984)
|
Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
|
Keywords | 計測工学 / 可視化技術 / ホログラフィ / 超音波 / 高速度イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
超音波伝搬の様子の3次元動的変化をナノメートルオーダーで計測が可能な技術を創生することを目的として,3次元画像表示技術であるホログラフィを応用した計測法の創成し,その実証システムを設計し構築した.また,構築したシステムにより,超音波伝搬の3次元画像計測能力を実証した. 目的とする技術を実現するシステムとして,記録物体を超音波とするマッハツェンダ干渉計を利用したディジタルホログラフィシステムを設計した.光源には連続波レーザー,ホログラムの記録には偏光高速度カメラで構成した. 構築したシステムにより,1台のスピーカーから40kHzの超音波を発生させてその伝搬の様子を毎秒10万コマで記録し,その動画を再生した.その結果,スピーカーから発せられ空気中を伝搬する超音波の動画イメージングに成功した.次に,2台の超音波スピーカーを,それらの奥行き位置を異ならせて配置した.各スピーカーから40.0kHz,40.1kHzのそれぞれの周波数の超音波を発生させて,その伝搬の様子を毎秒10万コマで記録し,その動画を再生した.その結果,各スピーカーから発せられ空気中を伝搬する超音波の同時動画イメージングに成功した.また,各スピーカーに透過率分布をもつフォトマスクを設置し,それぞれのフォトマスクに合焦する位置を動画像より求めることでスピーカーの3次元定位にも成功した.以上により,超音波伝搬の動画像計測と3次元定位の同時計測に成功した. さらに,得られた動画のうち位相動画像の時間変化を解析し,それぞれのスピーカーから発せられる超音波の周波数を計測した.計測結果は,各スピーカーに与えた信号の周波数と一致した.この結果より,光学的に得られた動画像から超音波の周波数計測能力を示した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題である超音波伝搬の高速度ナノ分解能3次元動画像計測技術を確立し,本技術に基づく実証装置の基本光学系の設計と構築ができた.また,構築したシステムで,超音波伝搬の動画像と3次元定位に成功し,当初の計画を達成した.さらに,得られた動画像から,超音波の周波数を再現できるという,当初に予想を越えた優れた成果を得られた.以上の成果が得られていることにより,本研究課題は当初の計画以上に進展していると判断できる.
|
Strategy for Future Research Activity |
令和2年度に構築した超音波伝搬の高速度ナノ分解能3次元動画像計測システムでは,超音波の3次元計測において奥行き位置の特定に振幅画像の合焦位置を目視により特定していた.そのために,3次元位置の精度が低いだけでなく,3次元位置の計測に多大な時間が必要であった.そこで,まず,構築したシステムの3次元計測能力の高精度化と効率化を目指して,合焦位置の特定の自動化を試みる. 次に,構築したシステムを用いて種々の超音波が伝搬する様子の動画像計測を行う.まず,超音波が壁面に入射したあと反射する様子の動画イメージングを行う.次に2つの超音波が干渉する様子の動画イメージングを行う.超音波の干渉は,先に行う,壁面による超音波の干渉を用いる.入射超音波と反射超音波とが干渉する際に生じる定在波の動画イメージング可能性を試験する.また,得られた動画像から定在波の周波数の計測可能性を試験する. 次に超音波と物体との相互作用を起こす現象の動画イメージングを行う.この相互作用といて超音波で固有振動数が異なる複数の弦に照射して,超音波により励起された弦が共鳴する様子の動画イメージングに挑戦する.さらに,得られた動画から共鳴振動数の計測可能性を試験する. 最後に,本研究全体を総括するとともに,得られた知見をまとめて,総括と展望を行い,システムの更なる高性能化を目指して,超音波伝搬の高速度ナノ分解能3次元動画像計測法に対する示唆を与える. 研究協力者としてホログラフィの記録について高度な知識を持つ神戸大学 的場修教授,千葉大学 角江崇助教,産業技術総合研究所研究員 夏鵬博士,株式会社久保田ホログラム工房 久保田敏弘博士と議論ならびに助言を受けながら研究を進める.
|
Causes of Carryover |
本研究課題の実験系において光学系をより高精度に微調整が可能な光学素子を購入する.
|
Research Products
(13 results)