2021 Fiscal Year Research-status Report
有機ラジカル分子接合トランジスタの創成と巨大磁気抵抗効果の発現
Project/Area Number |
20K21010
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
早川 竜馬 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 主任研究員 (90469768)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 有機ラジカル / 分子接合 / 縦型分子トランジスタ / 磁気抵抗効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、有機ラジカル分子接合における巨大磁気抵抗効果の発現メカニズムを明らかにし、新規縦型スピントランジスタへ拡張することを目的としている。本年度においては、高集積可能な分子接合トランジスタへ展開するため、メカニカルブレークジャンクション法を用いて形成してきた単分子接合から金属電極間に自己組織化単分子膜を導入した分子接合へ拡張することに取り組んだ。金属電極には金を用い、蒸着レートを0.8 nm/秒と比較的早い速度にすることで、rms 0.4nm程度の表面平坦性に優れた金電極を得ることができた。まずは素子の作製プロセスを確立するため、テスト分子としてアルカンチオール(8-mercato-1-octanol)を用いた。上記自己組織化膜を金電極上に形成し、保護膜として酸化アルミニウムを3nm程度、原子層堆積法により形成した。この保護膜の導入により、上部金電極を蒸着しても単分子膜を壊すことなく分子接合を形成することができた。電気特性評価からトンネル電流の2回微分特性において分子振動に起因するピークを確認し、分子を介したトンネル伝導を観測することに成功した。今後、有機ラジカル分子に応用する。 また、上記分子接合をチャネル層に用いた縦型トランジスタへ拡張するため、ゲート絶縁膜の薄膜化を検討した。これまで、分子接合をチャネル層に用いた縦型トランジスタのの作製には成功しているが、ゲート電極と分子とのカップリングが小さく、室温においてドレイン電流の変調効果が小さいことが問題であった。本年度においてはゲート絶縁膜として酸化アルミニウムを用い、5 nm程度まで薄膜化することで分子軌道のゲート変調によるトランジスタ動作を実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調に進展している。本年度は、これまで検討してきたメカニカルブレークジャンクション法を用いた単分子接合から自己組織化単分子膜を上下金属電極で挟んだ縦型分子接合へ拡張することに取り組んだ。テスト分子を用い、縦型分子接合を形成するプロセスを確立し、トンネル伝導特性において分子振動を観測することに成功した。また、縦型トランジスタの作製プロセスを検討した。ゲート絶縁膜の探索により、ゲート電圧による分子軌道の変調に成功した。今後、有機ラジカル分子に置き換えることで、本課題の最終目的である分子スピントランジスタへ拡張できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度においては、これまで検討してきた2端子素子(分子接合)から3端子素子(トランジスタ)へ拡張する。具体的には、テスト分子で確立してきた自己組織化単分子膜を用いた縦型分子接合形成技術を応用し、有機ラジカル単分子接合から自己組織化単分子膜を用いた分子接合へ拡張する。さらに、上記分子接合をチャネル層に用いた縦型スピントランジスタへと発展させる。これまで非磁性分子を用いて検討してきたリソグラフィー技術を駆使した縦型トランジスタの形成技術とゲート絶縁膜の探索により達成した分子軌道のゲート制御技術を基礎として、有機ラジカル分子接合をチャネル層に用いたスピントランジスタを実現する。既存のクライオスタット(温度可変インサート)および超電導マグネットを用いて縦型トランジスタ内で分子スピンによる磁気抵抗効果を観測し、分子スピンとゲート電圧によるドレイン電流制御を実証する。上記課題を通して、高集積可能な分子スピントランジスタの開発に向けたプロトタイプデバイスを創出する。
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Research Products
(3 results)