2021 Fiscal Year Annual Research Report
リバースジェネティクス法を用いたウイルス野生株・流行株の塩素消毒不活化特性の把握
Project/Area Number |
20K21012
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
白崎 伸隆 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (60604692)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 病原ウイルス / コクサッキーウイルス / リバースジェネティクス法 / 浄水処理 / 塩素処理 / ウイルス濃縮 / 高不活化率 / テーリング現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ゲノム(遺伝情報)解析による情報の集積が世界中で進む病原ウイルスの遺伝子塩基配列データと医学分野で研究が進むリバースジェネティクス法を併用することにより,塩基配列データから病原ウイルスの野生株の感染性ウイルスを人工合成し,得られたウイルス株を処理実験に用いることにより,単離や輸送による株の入手に頼ることなく,株の差異にまで踏み込んだ病原ウイルスの塩素消毒処理性(不活化特性)を詳細に把握可能な新たな枠組みを構築することを目的とした. 今年度は,病原ウイルスの中で塩素消毒耐性が高いことが再確認されたコクサッキーウイルスについて,様々な塩素処理条件下における不活化特性を詳細に評価した.プラック形成法にて評価した4 log(99.99%)程度までの不活化においては,log不活化率とCT値(遊離塩素濃度と接触時間の積)の間に直線的な関係が見られ,不活化速度は概ね一定であったのに対し,6 log(99.9999%)程度以上の高い不活化においては,CT値の増加と共に不活化速度が低下する現象,すなわち,テーリング現象が確認された.塩素処理工程におけるウイルス粒子径の測定,並びに塩素処理後に生残したウイルスを用いた塩素処理を実施したところ,塩素処理に供したウイルス培養液内において,塩素消毒耐性の異なるウイルス株が存在(細胞を用いたウイルス培養の繰り返しにより,変異を有するウイルス株が出現)している可能性が示唆され,このことがテーリング現象の一因であるものと考えられた.一方,リバースジェネティクス法については,コクサッキーウイルスの完全体RNAを細胞にトランスフェクションすることにより,プラック形成法にて定量可能な感染性ウイルスを生産できることが確認された.
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Research Products
(1 results)
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[Presentation] Evaluating the efficacy of drinking water treatment processes to remove and inactivate human sapovirus: Application of in vitro cell-culture method2022
Author(s)
Hu, Q., Shirakawa, D., Shirasaki, N., Takagi, H., Oka, T., Matsushita, T. and Matsui, Y.
Organizer
第56回日本水環境学会年会(オンライン開催)