2022 Fiscal Year Annual Research Report
脱炭素社会構築への貢献を目的とした焼成工程を省略したセメントの開発
Project/Area Number |
20K21014
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮本 慎太郎 東北大学, 工学研究科, 准教授 (60709723)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | アルカリ活性材料 / 寸法安定性 / 二水セッコウ / 石灰石微粉末 / セメントクリンカー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,産業副産物である高炉スラグ微粉末を結合材としてアルカリの供給が期待できるセメントクリンカーを細骨材として用いたアルカリ活性材料の開発を目的として,当該アルカリ活性材料のフレッシュ性状と硬化後の圧縮強度,寸法安定性について検討した. その結果,フレッシュ性状については,セメントクリンカー細骨材の粒度分布と細骨材結合材比を調整することでアルカリ活性材料の流動性と材料分離抵抗性をコントロールできることを示した.固化後のアルカリ活性材料の圧縮強度と寸法安定性については,圧縮強度は強さ試験用モルタル(Ref.)の圧縮強度と比較して材齢初期の強度発現性は小さかったが材齢28日以降はRef.の圧縮強度を上回った.この理由については,当該アルカリ活性材料の初期の硬化はセメントクリンカーから溶出するセメント成分に依存するため,セメントと比較して比表面積の小さいセメントクリンカーは溶解速度が緩慢だったためと考えられた.一方で,長期強度発現性についてはセメントクリンカーから溶出したアルカリ成分の影響による高炉スラブ微粉末の溶解に依存しているため,長期的な強度発現性が非常に優れていたと考えられた. また,寸法安定性に関しては,当該アルカリ活性材料ははRef.と比較して収縮が大きかったが,二水セッコウと石灰石微粉末を混合材として使用することで析出するセメント水和物の種類をコントロールすることで乾燥収縮を大幅に低減できることを示した. 以上のように当該アルカリ活性材料はフレッシュ性状から硬化後の基礎物性,寸法安定性においてOPCモルタルと同等以上の性能を有するため,新材料としての実用可能性を十分に有していると考えられた.
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