2020 Fiscal Year Research-status Report
レーザースポットよりも小さいアラゴスポットを用いた直線発生装置の開発
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20K21015
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
辻 龍介 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (40188537)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | アラゴスポット / 直線発生 / 位置計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度の計画は研究室内での原理検証を行う事であった。He-Neレーザーを専用電源につないでレーザー光を発生させ、ビームイクスパンダ―でビーム径を大きくして各種直径の精密ベアリング球に照射することで、後方のアラゴスポット(以下スポットと略す)の形状を計測する事ができた。 スポットの直径が、(1)ベアリング球の直径に反比例する事、(2)ベアリング球とスポットの距離に比例する事が実験結果より確かめられ、長距離実験を行うときの基礎データを得る事ができた。また、長距離実験を行う時に、平行光照射では球の影が縮小されスポットの観測の困難が予想されるが、発散光照射か収束光照射にすると、いずれの場合も球の影が拡大され遠距離でもスポットが観測可能である事を、照射実験の結果により確認することができた。 装置関係では、ビームエクスパンダ―、ベアリング球を動かす微動ステージ、各種の制御用マイコンとそれらの資料等を購入し、スポットの形状観測ができるデータ取り込み装置を開発した。 以上の成果のうち、「In-Situ Mass-to-Charge Ratio Measurement and Control of Trajectory of Vertically Injected Laser Fusion Energy Charged Target by Electric Field」の論文をPlasma and Fusion Reserach誌に投稿したところ受理され、論文が出版される事になった。本論文はアラゴスポットによる直線発生を利用して、レーザー核融合用の燃料球の精密な位置計測を行う応用例を示すものである。 また、スポットの発生方法の別の応用例の論文を投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度の計画は、研究室内での原理検証を行う事であった。アラゴスポットの直径が、(1)ベアリング球の直径に反比例する事、(2)ベアリング球とアラゴスポットまでの距離に比例する事を実験的に明らかにした。 装置関係でもアラゴスポットの形状を観測できるデータ取り込み装置を開発した。コロナ禍で大学の研究室に行けない期間もあったが、その間は理論的な検討や新しい応用面の検討などを行い、今後の実験に展開できる興味あるデータや関連課題を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度では、He-Neレーザーを半導体レーザーに代えて、トンネル内で遠距離でのアラゴスポットの発生および形状測定の実験を行う予定である。その途上で理論的な改良点や、関連する応用例があれば、実験やシミュレーションを行う予定である。 2022年度では、遠距離でアラゴスポットの大きさがカメラの撮像素子からはみ出る場合のスポット位置を知るための装置を作成する予定であり、研究途上で興味ある理論的現象や応用例があれば、それらも追及していく予定である。 当初の計画に沿いながら、今後の研究を推進していく予定である。
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Causes of Carryover |
クロスローラーステージを2個(約5万円)発注する予定であったが、発注時になって国内在庫と海外在庫が無くなり発注を止めたため、未使額が生じた。次回の製作が2021年度の第二クオーターとの事で在庫が入り次第発注する費用として使用する予定である。
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