2021 Fiscal Year Research-status Report
レーザースポットよりも小さいアラゴスポットを用いた直線発生装置の開発
Project/Area Number |
20K21015
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
辻 龍介 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (40188537)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | アラゴスポット / 直線発生 / 位置計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の計画は小型の半導体レーザーを用いた実用化に向けての原理研究を行う事であった。精密ベアリング球に半導体レーザーを照射して後方のアラゴスポットの形状を計測する事ができた。 スポットの直径は、(1)ベアリング球の直径に反比例する事、(2)ベアリング球とスポットの距離に比例する事が実験結果より確かめられ、これはHe-Neレーザーを使った前年度の実験結果と同様の性質であった。また(3)波長が短くなった事からスポットの直径も比例して小さくなった事も確かめられた。これらの結果によって、実用化の時に波長が異なる各種の半導体レーザーを使った場合の設計方法が確立された。 装置関係では制御用マイコンに関する資料等を購入し、それを参考に研究室よりポータブルの直流電源、電子部品を加えて研究室外でもアラゴスポットの発生実験が行える準備が整った。 Plasma and Fusion Reaserch誌で2021年度中に出版予定だった「In-Situ Mass-to-Charge Measurement and Control of Trajectory of Vertically Injected Laser Fusion Energy Charged Target by Electric Field」の論文は、editorより意見があり更に3ページを加筆して13ページの論文として2022年度中に出版される事になった。 この研究を科研費を使って始める前の、予備的な研究をしていた時期(2018年5月18日)に出した特許「直線発生方法および直線発生装置」が2021年10月21日に特許第6964340号として特許が成立した(発明者 辻龍介、特許権者 茨城大学)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度の計画は、He-Neレーザーから半導体レーザーに替えて実用化に向けての原理研究を行う事であった。アラゴスポットの直径が、(1)ベアリング球の直径に反比例する事、(2)ベアリング球とアラゴスポットまでの距離に比例する事が、半導体レーザーを使用した場合でも確認され、また使用するレーザーの波長が変わった事により(3)アラゴスポットの直径が波長に比例する事も実験的に確かめられた。 また、本研究に派生してアラゴスポットの新しい発生方法を考案し、実験的にその方法でアラゴスポットが観測できる事を示した。原理としてはベアリング球Aにレーザ-を照射しその反射光による別のベアリング球Bを照射してBのアラゴスポットの位置を計測する事でAの位置が計測できるというものであり、実験室内での原理検証に成功している。 以上のように、予定した年度計画の主要な部分を遂行しながら今後の研究に展開できる新しい考察なども得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である2022年度では、前年度までの計画で積み残した部分(主に室外のアラゴスポットの生成および形状測定)を行いつつ、校庭を利用した遠距離(100m)におけるアラゴスポットの生成と形状測定を行う。遠距離ではアラゴスポットが大きくなり通常のビデオ撮像素子に直接入力する方法では観測できなくなるので、それに代わる装置の製作を行う。 また、アラゴスポットを利用した新しい位置計測法を考案し、それを既存の装置を改良する事で考案した新しい計測法の性質を調べる。更に、アラゴスポットの高速なデータ取り込みの装置の開発も進める。これらを派生テーマとして研究を推進していく予定である。 当初の計画と合わせて、今後も研究を推進していく予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度中に研究成果として論文「In-Situ Mass-to-Charge Ratio Measurement and Control of Trajectory of Vertically Injected Laser Fusion Energy Charged Target by Electric Field」がプラズマ核融合学会の英文誌「Plasma and Fusion Research」より出版される予定であったが、編集部からさらに加筆するよう要請がありその結果10ページの論文は13ページに増えた。結果として出版可となったが、英文校閲の手続きをしている内に年度を超えてしまったので、13ページの論文の出版費用、再度の英文校閲、別刷りの費用として用意していた金額と、その内容を研究会にて発表する交通費の金額が2021年度内に使われる事がなかった。しかし、この論文は英文校閲を経て、現在は印刷校正の段階になっているので2022年度の前期には使われる予定である。
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