2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of stochastic urban climate analysis system using ensemble simulation
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20K21035
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川本 陽一 九州大学, 芸術工学研究院, 助教 (70569730)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | 都市気候 / メソスケール気象モデル / アンサンブルシミュレーション / 不確実性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度はこれまでに引き続き、アンサンブルシミュレーションの一手法であるラグ平均予報法を実行し、既往研究での都市上空の風環境の観測値との比較を行った。2021年度までとは異なり、ヨーロッパ中期予報センターにより提供されるERA5再解析データを初期値・境界値の作成に用いた。多くの客観解析データや再解析データは6時間毎に作成されるが、ERA5は1時間毎に作成されより時間解像度の高いデータとなっている。 ラグ平均予報法は評価対象期間に先立つ助走計算の期間を変更することでアンサンブルメンバーとする。既往研究での観測日のうちから晴天日を抽出して評価対象日とし、助走計算期間を15時間から39時間まで変化させた。即ち、評価対象期間の24時間を含めて39時間から63時間のシミュレーションを行い、アンサンブルメンバーとした。世界気象機関では12時間から72時間先までの予報を短期予報、3日(72時間)を超え10日先までの予報を中期予報と分類する。2021年度に実施したラグ平均予報法のアンサンブルメンバーでは短期予報と中期予報が混在していたが、ERA5を用いることにより短い時間間隔で初期値を作成できるため、短期予報の範囲内で多くのアンサンブルメンバーを作成することができる。 シミュレーション結果は上空の風向風速との比較を行い評価した。ERA5を用いた25メンバーのシミュレーション結果は、2021年度までに実施したシミュレーション結果に比してメンバー間のばらつきは小さくなったものの、依然として初期値の差異が上空の風向風速のシミュレーション結果に及ぼす影響は大きく、誤差の傾向は単純に評価することは困難であった。従って、単一の結果を評価する決定論的評価は困難であり、複数のアンサンブルシミュレーションの結果を統計的に評価する確率論的評価の必要性が改めて示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラグ平均予報法のアンサンブルメンバー数を増やしたことにより、シミュレーション結果の解析に当初の想定より時間がかかっており、計画よりわずかに遅れが生じている。また当初の計画で発表を予定していた国際会議が新型コロナウイルス感染症の影響により2年延期となり2023年開催となった。上記の理由により、研究期間の延長を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
ラグ平均予報法を実施しシミュレーション結果は得られているため、今後はその解析を中心に進める。参加を予定していた国際会議は発表の採択が決まり、その準備も行う。論文投稿については引き続き行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
参加した国内学会がオンライン開催に変更となり、また当初計画で参加予定としていた国際会議が延期となったため、旅費の執行が大幅に変更となったため、次年度使用額が生じた。延期となった国際会議は研究期間終了後の2023年夏に開催されるため、研究期間の延長を行った。
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