2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K21039
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
藤田 正則 神奈川大学, 工学部, 教授 (30449368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 慎 神奈川大学, 工学部, 助手 (10839385)
田村 和夫 神奈川大学, 付置研究所, 研究員 (50416822)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 浸水被害 / 浸水模型実験 / 浸水ハザード / 止水性 / 設計法 / 木造家屋 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、浸水後も早期復旧が可能な建築物を目指して、仕上材や躯体の目地の止水性を考慮して水流に抵抗できる木造家屋の要求性能を明らかにし、浸水被害に対応した設計法の枠組みを提案するものである。気候災害の中で、内水・外水氾濫などの治水能力を超える豪雨による浸水被害を受けた建築物の浸水深に着目している。被害のあった建築物のうち、木造家屋を中心に床レベル、建物仕様などの調査を行い、浸水深との関係を分析する。次に、浸水模型実験により構造材及び仕上材、建築設備とそれらの組み合わせによる止水性と浸水深との関係から、水流に抵抗できる木造家屋に必要な要求性能を明らかにする。初年度は,浸水被害を受けた建築物の調査を延期し,建物外周部の開口からの浸水特性を評価するために,基礎的な浸水模型実験を行った。まず,主水槽、集水槽から成る浸水模型試験装置(1090mm×1090mm×1900mm)を製作し,木造家屋の基礎底部の浸水を想定して浸水深、開口部形状(矩形:開口部幅、開口部奥行)が浸水流量に及ぼす影響に関して検討した。浸水模型試験のパラメータは浸水深(250~1000mm)、開口部幅(1mm~15 mm)、開口部奥行(鋼板,コンクリート)である。得られた知見を以下に示す。 1)浸水深さが同水位の場合,開口幅が2倍になると、浸水速度は2倍以上になる。 2)基礎底面部分に設けた開口部奥行(コンクリート厚さ:105mm)は,開口幅、浸水深の範囲内においては浸水速度に影響をほとんど及ぼさない。 3)変水位における浸水係数はトリチェリの定理によって算定でき,開口部が大きくなるに連れて1.0に近づく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の状況下にあり,浸水被害調査ができなかった。また,実験開始が遅れたので,2021年度には,当初の計画に近づけたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に実施した,木造家屋の基礎底部に開口部を有する浸水模型実験を踏まえ,2021年度では,開口部を基礎立ち上がり部や設備配管などの部位を拡大した実験を行う。開口部形状(開口部幅,開口部厚さ),仕上げ材の種類(パッキンなど),浸水高さのパラメータを拡大し,これらが浸水状況に及ぼす影響を検討する。その中で,建物内への浸水速度,浸水模型実験の計測誤差,流体の非線形性などに関して考察する。なお,浸水被害を受けた建築物の調査は,社会状況を踏まえて判断する予定である。
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Causes of Carryover |
旅費などの使用予定を中止したため
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