2021 Fiscal Year Research-status Report
間欠爆轟スラスタによる人口衛星姿勢制御用スラスタの革新
Project/Area Number |
20K21046
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松岡 健 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (40710067)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | パルスデトネーション / スラスタ / 小型衛星 / 電気浸透流ポンプ |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、人口衛星を用いた科学・商用ミッションの高度化・多様化が加速度的に進んでいる。本研究は、このニーズに柔軟に対応する、高機動かつ高精度な姿勢制御が可能な間欠爆轟スラスタ(PDT)を提案する。PDTは原理的に間欠的な推力生成に適しているため、再現性の高い力積を高周波で繰り返し生成可能である。 当該年度では、小型衛星搭載用の流体制御バルブを導入し、窒素ガスを用いた動作特性試験を実施した。その結果、繰り返し周波数50ヘルツ(DUTY RATIO=50%)での安定したパルス作動および流量特性を確認した。 また、新たに電気浸透流現象を応用したポンプ(以下、EOP)の基礎実験を開始した。EOPは、印加電圧を変化させることで吐出圧を制御可能なポンプであり、高圧、駆動部無し、低消費電力の特徴を有する。EOPを用いた推進システムは、これまで超小型衛星の分野で難しかった推力調整が単純なシステムで可能となる。当該年度では、推進剤の候補である過酸化水素の送液実験を行い、EOP動作特性を評価した。その結果、印加電圧に伴って体積流量が直線的に増加することを確認した。代表的な結果は、印加電圧100Vで約30μL/minの体積流量および0.25 Wの消費電力であった。本結果から、1~100 mN程度の推力範囲をカバーできることが示唆された。加えて、白金触媒を用いたスラスタ作動試験を実施し、燃焼器内部圧力および温度の上昇が確認され、EOPスラスタとしての実現性を確認した(堀田ら、第65回宇宙科学技術連合講演会、2021年9月)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度では、バルブ単体の動作試験を完了したが、計画していた小型パルスデトネーションスラスタ(PDT)の設計・製造・試験が実施していない。 しかしながら、新たに電気浸透流ポンプ(EOP)の研究を開始し、EOPスラスタの実現性を確認することができた。本ポンプは、超小型衛星用スラスタで困難であった推力スロットリングを単純なシステムで実現することができ、スラスタシステムの概念に変革をもたらす可能性がある。EOPは、PDTシステムにも応用が可能である。 以上の理由から、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、PDTシステムおよび微小非定常推力を測定可能な装置を構築し、本研究課題の最終目的を達成する。同時に、過酸化水素・白金触媒を用いたEOPスラスタの推力測定試験を実施する計画である。
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Causes of Carryover |
当該年度で計画していた小型パルスデトネーションスラスタの構築・推力性能評価試験が、構成部品の納期遅延等で実施されていない。また、新たに開始した電気浸透流ポンプの研究に対して、次年度に推力測定実験装置を構築する必要がある。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] In-Space Flight Demonstration Results of a Detonation Engine System on Sounding Rocket S-520-31: Pulse Detonation Engine2022
Author(s)
. Buyakofu, K. Matsuoka, K. Matsuyama, A. Kawasaki, H. Watanabe, N. Itouyama, K. Goto, K. Ishihara, T. Noda, J. Kasahara, A. Matsuo, I. Funaki, D. Nakata, M. Uchiumi, H. Habu, S. Takeuchi, S. Arakawa, J. Masuda, K. Maehara, K. Yamada, T. Nakao
Organizer
33rd International Symposium on Space Technology and Science
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[Presentation] Flight Demonstration of Detonation Engine System Using Sounding Rocket S-520-31: Performance of Pulse Detonation Engine2022
Author(s)
V. Buyakofu, K. Matsuoka, K. Matsuyama, K. Goto, A. Kawasaki, H. Watanabe, N. Itouyama, K. Ishihara, T. Noda, J. Kasahara, A. Matsuo, I. Funaki, D. Nakata, M. Uchiumi, H. Habu, S. Takeuchi, S. Arakawa, J. Masuda, K. Maehara, T. Nakao, K. Yamada
Organizer
AIAA SciTech Forum 2021
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