2020 Fiscal Year Research-status Report
係留を必要としない新たな洋上風力発電システムの開発
Project/Area Number |
20K21047
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
橋本 博公 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30397731)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 無係留浮体 / 洋上エネルギー基地 / 洋上風力発電 / 水中タービン / 帆走型浮体 |
Outline of Annual Research Achievements |
洋上エネルギー基地としての利用を念頭に,無係留洋上風力発電システムの試設計を行った。以下に主要なコンセプトを記す。 ①大深度海域での利用を念頭に,係留策を必要としない帆走型の浮体を用いる。テザーケーブルを介して浮体と連結された水中タービンを曳航することで発電し,浮力材の利用により空中重量が大きい大型のタービン発電機を採用する。②浮体は双胴船型とし,各浮体にマストを立ててセイルを張る。セイルに風が作用することで推進のための抗力が得られる。前後対称なWigley船型を採用することで,前後どちらから風を受けても同等の性能で航行可能となる。③双胴船型は横復原力が大きく,細長船型は縦復原力にも優れるため,暴風下での安定性が担保される。重量の大きい風車を搭載しないため,風抗力を得るためのセイルとマスト,蓄電池の重量に相当する排水量を確保すればよい。④基準値以上の発電が見込めない場合には,電気を放電し,タービンを推進器として利用することで指定の海域に移動・復帰可能とする。 以上の基本コンセプトのもと,日本の排他的経済水域での運用を想定した試計算を行った。水中タービンに働く水抗力,セイルに働く風抗力,浮体に作用する水抵抗の釣り合いから,風速を想定海域の最頻値である5.65[m/s]とした場合には,胴体の長さを12m,水中タービンの直径を0.6mとすることで,一時間当たりの発電量推定値が517[kW]となった。給電対象とする自律型無人潜水機一機当たりの電池容量を5[kW]と仮定すれば,その100倍程度の電力を基地に蓄えることができそうである。帆走による発電に適した風の強い海域では,風による傾斜モーメントに波浪の影響が重畳するが,細長の双胴船型を採用することで,上位1%の風速の中でも十分な安定性が確保できている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の試計算では,洋上エネルギー基地として期待される発電量が得られており,暴風下でも十分な復原性能を有することが確認できた。浮体や水中タービンのサイズも実海域で運用しやすいものとなっており,現在のところ実用化に向けて大きな問題は見当たらない。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,試計算通りの帆走性能,復原性能,発電量が実際に得られるかを検証するため,縮尺模型を製作して,大型試験水槽にて波風併存中の性能試験を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため当初予定よりも出張旅費が少なくなったため。次年度は試験水槽での模型実験を予定しており,実験消耗品の一部として使用する予定。
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