2021 Fiscal Year Annual Research Report
Foretold disaster studies in residential region - landslides and asset valuation
Project/Area Number |
20K21057
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
釜井 俊孝 京都大学, 防災研究所, 教授 (10277379)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 未災 / 宅地 / 不動産 / 法整備 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究を総括するため、研究集会「宅地の未災学の確立に向けて」を開催した(ハイブリッド開催)。10件の発表と約50名の参加があった。「科学的な知見」、「社会問題としての実像」、「未災の段階でのアプローチ」の3セッションを設定して議論した結果、宅地の未災学の諸問題と今後の方向性を明確にすることができた。 すなわち、報道の視点からは、「大災害には顔がある。次の大震災の顔は、宅地崩壊かも知れない」。考古学の視点からは、「住居遺跡の分布を見ると、災害の記憶は数百年で無くなる。近代では、特に忘れ方が早い」。被災者救援の視点からは、「大川小判決で、組織的過失が認定されたことは重要。災害においても行政の不作為を広く問える可能性が出てきた。災害不法行為法を制定し、立証責任を転換(加害者側に負わせる)する事が必要」。不動産業の視点からは、「不動産業では、知らないことが最大のリスクヘッジである。しかし、地盤系コンサルが不動産業を兼ねる様になれば、そういう逃げ道は無くなる」。防災学の視点からは、「災害リスク税と宅地防災組合の組み合わせで、ダメ盛土の管理を住民自ら行う道を」。民法学の視点からは、「里山管理やダメ盛土は、科学的防災情報に基づいた法的規制へ→都市計画の転換を」。地盤工学の視点からは、「盛土の変動は、入力地震動の大きさだけでは決まらない。共振と地下水が支配する複雑な現象」。教育学の視点からは、災害も歴史風土の一部。価値の共有も含めた全体のデザインを担う人(レジデント型研究者)を」等の指摘があった。また、公益財団法人 不動産流通推進センターが刊行している雑誌、『月刊不動 フォーラム21』で「不動 コンサルティングの地学-都市と 斜面の物語-」を連載(今年度は最終回)した。さらに、本研究の意義と成果を広報するため、昨年度開設したサイト「宅地の未災学」をメンテナンスし、充実させた。
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