2022 Fiscal Year Research-status Report
A study on disaster case management methods to reduce the number of people who have difficulty in rebuilding their lives after a major disaster
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20K21059
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
上月 康則 徳島大学, 環境防災研究センター, 教授 (60225373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮定 章 和歌山大学, 災害科学・レジリエンス共創センター, 特任准教授 (00836851)
井若 和久 徳島大学, 人と地域共創センター, 学術研究員 (50795060)
松重 摩耶 徳島大学, 環境防災研究センター, 助教 (70845205)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | 災害ケースマネジメント / 生活困窮 / 在宅被災者 / 東日本大震災 |
Outline of Annual Research Achievements |
R4年度はアセスメントシートの解析研究と災害ケースマネジメント(DCM)の訓練プログラムの評価という2点で大きな研究成果を得ることができた. 1点目は,南海トラフ巨大地震の被災想定地域の一つである徳島県の在宅被災者支援に関する教訓を見いだすことを目的に,東日本大震災の在宅被災者アセスメントシートの分析を行った研究である.被災者の居住地域では,震災後にも,降雨による雨漏りや地盤沈下による高潮位時の浸水,降雨時の内水・外水氾濫による浸水は連続して起こり,住家被害は拡大し,被災者の困窮度は深まっていった.それに対して,民間支援団体らは,一人ひとりの被災者の問題を把握し,問題解決のために必要な専門家へ適宜つなぎ,多数の被災者が助けられていた.今後,連続災害を想定して備えること,連続災害を一体として支援にあたること,DCMでのつなぎ役の確保,生活再建プランナーの育成などの教訓を5つ見いだすことができた. 2点目は, 2022 年度徳島県総合防災訓練において開催された県内初のDCM を取り入れた被災者の相談支援体制の在り方検討(被災者相談訓練)の効果と課題について,訓練終了後の参加者アンケートから評価,考察を行った研究である.1) 訓練に3つの目標と目標値を設け達成率を測定した.結果,「目標① 被災者一人ひとりの被災状況や課題等を個別に把握する必要性を理解できるようになる」については66%,「目標② 被災者の課題等の解決には多様な関係機関と連携する必要性を理解できるようになる」については69%,「目標③ 被災者の相談支援体制の中における自身及び所属組織の役割を理解できるようになる」については64%であった.2) 訓練の内容には全体の94%が「有意義である」と回答していた. 3)訓練を通じて,今後,DCM を行うことができると思ったかについては,肯定的な回答の割合が全体の69%あった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度当初には,次の3点を研究計画に挙げていた. 計画1「支援団体「チーム王冠」に提供されたアセスメントシートの全163事例を詳細に解析し,未災地の徳島に活かす教訓としてまとめる.代表的な事例については直接被災者宅を訪れてヒアリングを行う」については,約半数の事例を解析し,その成果を査読付き論文に投稿することができ.未解析の事例はあるがおおむね計画は達成できた. 計画2「得られた教訓が東日本大震災での特異的なものであるのか,または他の災害でも同様の事例があるのかについて,調査を行う」.これについては,コロナ禍の中での行動制限のために調査はできなかった.計画は未達成である. 計画3「教訓を周知するためのアウトリーチ活動を行う.具体的には,関係する団体との講演会やゲームの開発などを行う」.研究成果を生かした訓練を行い,そのプログラムの評価を行い,それを学会で発表できたことから,目標は達成できたと言える. 以上のことから,研究の進捗は「おおむね計画通り進捗している」と評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
R5年度の行う研究内容は次の3点である. (1)支援団体「チーム王冠」に提供されたアセスメントシートのうち,未解析の70事例を詳細に解析し,未災地の徳島に活かす教訓としてまとめる.特に,地震のみの被害者と連続被災を受けた被災者との困窮の過程や程度に着目すること,他の災害事例との比較を行い,調査研究を進める. (2)教訓を周知するためのアウトリーチ活動を行う.具体的には,訓練やゲームなどの啓発プログラムの開発を行う. (3)4年間の研究成果をまとめ,学会に報告する.
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Causes of Carryover |
予定していた研究計画の中で,計画2の「得られた教訓が東日本大震災での特異的なものであるのか,または他の災害でも同様の事例があるのかについて,調査を行う」を着手できなかった.これは,コロナ禍の中での行動制限のために出張およびヒアリング調査などの目途が立たなかったためで,それに準備していた旅費,人件費などが未使用となった. なお,令和5年度には,繰り越しとなった研究費を使い,未着手であった内容をさらに発展させて研究を進める.
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Research Products
(9 results)