2021 Fiscal Year Annual Research Report
Design bolstering social resilience on the subsidy scheme to vaccination for epidemics
Project/Area Number |
20K21062
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
谷本 潤 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (60227238)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 感染症 / 数理疫学 / ゲーム理論 / vaccination game / 複雑ネットワーク科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
COVID-19は未だ終息への道筋が見えない.オミクロン株は弱毒化して定在型のインフルエンザ同様季節性感染症となる可能性が高い.その場合,ワクチン接種は現在の全額国費負担ではなく,一部に自己負担が伴いことになる.予防接種法によれば,高齢者には自治体が定める一定の補助がなされるが自己負担も伴う.予防接種を受ける/受けないは,個人レベルで意志決定される経済性とリスクの評価に委ねられるため,社会全体としてみたとき結果的に接種率(Vaccination Coverage)が上がらない事態が起き得る.これは,個々人にとってみると,他者が予防接種をすることでいわゆる集団免疫が達成されるのなら,自らは接種せずとも罹患しない可能性が高くなるため,公共財(Public Goods)としての集団免疫にfree-rideするインセンティブが潜在するからである(ワクチン接種ジレンマ).接種率を上げ,流行を未然に阻止するには,高齢者への全額補助,学齢児童や社会的弱者への公的補助スキーム導入が考えられる.豊かで安全安心な成熟社会達成のためには高福祉は重要な論点であるが,医療費の低抑化も等閑視出来ない課題である.しかし,予算制約から全てに対して無制限の福祉を提供することは不可能だとしても,重症化による更なる高額医療費を未然に防ぎ,大感染を効率的に抑止出来るのなら,先制的予防接種の無料化も現実的選択肢の一つとなり得るかもしれない.本研究では,数理疫学,進化ゲーム理論,Multi Agent Simulation,ネットワーク科学の知見を総動員して,感染症ダイナミクスとワクチン接種や隔離,マスク装着などの感染抑制介入方策への個人の意思決定ダイナミクスが共進化する複雑現象をモデル化するIntervention Gameを理論構築することに成功した.
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