2021 Fiscal Year Annual Research Report
Quantitative understanding on brittle fracture of martensitic steel based on microscopic plastic deformation behavior
Project/Area Number |
20K21083
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
柴田 曉伸 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究拠点, グループリーダー (60451994)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 脆性破壊 / マルテンサイト鋼 / 塑性変形 |
Outline of Annual Research Achievements |
耐脆性破壊特性に優れた高強度金属材料開発のための材料設計概念を提案していくためには,原子スケール・ミクロスケール (ナノ・マイクロメートルオーダー) の破壊挙動からマクロスケール (ミリメートルオーダー以上) での破壊特性を予測する理論を構築していく必要がある.ところが,第一原理計算などの計算シミュレーションによって求められる原子スケール破壊特性 (原子間結合エネルギーや結晶粒界凝集エネルギーなど) と,実験研究により測定される材料全体のマクロ破壊特性 (引張特性や破壊靭性値など) の間には非常に大きなギャップが存在するのが現状である.これは破壊に伴うミクロレベルでの塑性変形が大きな影響をおよぼしていることに起因している. そこで,本研究では高強度マルテンサイト鋼およびマルテンサイト・フェライト2相鋼において生じる脆性破壊を研究対象とし,破壊靭性試験により破壊特性を正確に評価するとともに,破壊に伴うミクロレベルでの塑性変形挙動を詳細に調べることを目的として研究を行った. 本年度は,走査型電子顕微鏡および光学顕微鏡を用いたデジタル画像相関法により,変形中のミクロレベルでの塑性変形挙動を詳細に調べた.マルテンサイト組織中には,ブロック境界,パケット境界,旧オーステナイト粒界といったような大角境界・粒界が存在し,それらの境界近傍に塑性ひずみが集中するが,これらの境界・粒界のうち,特に旧オーステナイト粒界近傍に塑性ひずみが集中する傾向を明らかにした.また,0.2%耐力付近から塑性ひずみ分配が大きくなっていた.さらに局所応力も算出した結果,各粒界・境界における局所応力分配はかなり低応力の段階からすでに生じていることを明らかにした.
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