2020 Fiscal Year Research-status Report
蛋白質結晶を用いた磁性ナノ粒子の3次元規則配列と強磁性共鳴制御
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20K21085
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
白土 優 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (70379121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東浦 彰史 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (90598129)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 磁性ナノ粒子 / 蛋白質 / PfV |
Outline of Annual Research Achievements |
磁性材料は、永久磁石などのハード磁石と、トランスやモーターのコア、インダクタ等に用いられるソフト磁石に大別される。ソフト磁性体については、SiCやGaNを始めとするパワー半導体の実用化に向けて、100 kHz以上の周波数で効率的に動作する材料が必須とされているが、この周波数領域での磁気損失が低く、効率的に動作できる磁性体の開発が必要されている。本研究では、磁性ナノ粒子間の双極子相互作用を利用するとことで、磁気共鳴周波数を制御できる新規材料の開発を目的としている。特に、蛋白質による球殻構造体内部にナノサイズの磁性体を規則的に配列させた新規材料の開発を進めている。具体的には、蛋白質には、Pyrococcus furiosus virus-like particle (PfV)を用いて、PfVを結晶化させることで内部に含有される磁性体の3次元規則化を目指している。2020年度は、PfV内部にCo-Ptナノ粒子を合成させることによる、強磁性Co-Ptナノ粒子の磁気特性、Co-Ptナノ粒子の微細構造評価とともに、蛋白質光学的にPfVのアミノ酸配列を制御したPfVを用いることでPfVの内部構造の制御を試みた。結果として、PfV内部に数nm径のCo-Ptナノ粒子の合成が可能であり、また、合成されたナノ粒子は室温で超常磁性であること、Co-Ptナノ粒子の合成濃度によって粒子サイズ・結晶相の制御の可能性があることを明らかにした。また、アミノ酸配列を制御した改質PfVについても、球殻構造形成プロセスの検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PfV結晶内に磁気秩序を示す磁性ナノ粒子の生成を達成し、また、強磁性共鳴の検出が可能であることを明らかにしていることから、当初の研究計画は順調に進んでいるものと考えている。また、アミノ酸配列を改質したPfVについても、球殻構造形成プロセスの最適化を進めており、この点においても、研究分担者との連携により順調に進めることが出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、2020年度の研究を発展させ、(1) PfV結晶中への磁性ナノ粒子の効率的生成、(2) ソフト磁性を示す磁性材料への展開、(3) アミノ酸配列を制御した改質PfVの球殻構造の生成と結晶化を主な検討課題として進める。
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Causes of Carryover |
磁気測定装置として使用している超電導量子干渉磁束計デバイスの急な故障により、一時的に測定が停止したことが主因であり、当該装置に使用する寒剤(液体ヘリウム)使用料が次年度使用額に該当する。(2020年12月修理)一方、この期間は電子顕微鏡を始めとする微細構造評価に充てたため、研究としての遅れはないが、2020年度に実施予定であった磁気特性評価を2021年度に実施する。
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