2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K21089
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
田中 克志 神戸大学, 工学研究科, 教授 (30236575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺本 武司 神戸大学, 工学研究科, 助教 (10781833)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | レンズレスカメラ / MURAコード |
Outline of Annual Research Achievements |
レンズレスカメラとするためのコーデッドマスクとしてランダムパターンとMURAコードについての検討を行った結果,可視光でのレンズレスカメラではマスクエッジからの回折の効果が大きいためランダムパターンが望ましいが,回折の小さいX線の場合はブロックパターンから構成されるMURAコードの方が取り扱いが容易であることが明らかとなった.購入したCCDカメラの画素の大きさ(1024x1024:1画素10μm)と目標とする撮影領域の大きさ(1x1mm)からMURAコードの次数を151とし,7x7mmの大きさのパターンとした.このパターンをCADで作成した後,ガラスにCrを蒸着したものに電子線で描画する方法を用いてフォトマスクとした.マスクにX線に対して十分な減衰能を持たせるため,マスクを構成する材料として,カプトン膜にBiを蒸着しパターンを形成した後,可視光を遮断するために薄くAlをコーティングしたものを採用することとした.試作の結果,現有の真空蒸着装置では必要な膜厚の均一性を確保することができなかったため,このBiとAlを蒸着するための真空蒸着用チャンバーを新たに作製した. 撮影したパターンから画像を再構成するためのソフトウェアの作成を行なった.まだ,実際の像が得られていないため,まずはPC上で作成した模擬のデータを用いることとした.原理に忠実なアルゴリズムを用いたが,コンボリューションを多用するため,現有のPCでは画像再構成を現実的な時間で行うことができなかったが,アクセラレータとしてGPUを用いた結果,静止画であれば実用に耐えられる再構成ソフトウェアとすることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では年度内に像を得るところまで進む予定であったが,蒸着装置の問題から使うことのできるマスクの作製に至らなかった.一方,ソフトウェアの開発ではアクセラレータの導入により,実用的な速さの画像再構成速度を得ることができ,当初の予定を上回る進捗を得ることができた.よって,総合的にはおおむね順調に進展しているとすることができる.
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Strategy for Future Research Activity |
新規に作製した蒸着装置における適切な蒸着条件を早期に決定し,実用に供することができるマスクの作製を行うことが重要である.また,マスクとイメージセンサとの間隔を最適化する.間隔を広げることで分解能の向上が期待されるが,フレネル回折の影響を強く受けるようになり,画像の再現性が低下する.本研究では目標の空間分解能を1μm程度とし,最適な距離を実験的に決定する.その後,本イメージング方法が波長依存性を持たないことに着目し,フィルター法により特定の元素の特性X線を検出することでその元素の分布を迅速に得る方法を試みる.本研究ではNi/Cuフォイルを繰り返し圧延することで得た層状組織に対して,Mo-Kα線を照射することで蛍光X線を発生させ,Ni箔フィルター(Ni-Kα,Cu-Kαの両方を透過),Co箔フィルター(Ni-Kαを透過,Cu-Kαを吸収),Fe箔フィルター(Ni-Kα,Cu-Kαの両方を吸収)を通した撮影を行い,これらの像の差分を取ることでそれぞれの元素分布像を得る.これらの撮影を通じて何が性能向上に重要であるかを明らかにする.
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