2022 Fiscal Year Research-status Report
不均一系触媒作用を目指した無機キラルナノスクロール創製への挑戦
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20K21090
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
佐藤 久子 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 教授 (20500359)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
會澤 純雄 岩手大学, 理工学部, 准教授 (40333752)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | 層状化合物 / 振動円二色性分光法 / キラリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
粘土鉱物は層状の無機化合物である。これを反応場と観た場合に、2次元的に制限された粘土層間に分子が近接して吸着しているために理想的な分子認識の場を提供すると考えられる。例えば光学活性な分子である2価のトリスキレート型錯体([Ru(phen)3]2+ (phen = 1,10-フェナントロリン)がモンモリロナイト粘土鉱物へ吸着する場合、一方の型の光学対掌体(エナンチオマー)単独では吸着は1分子層で留まるのに対して、ラセミ体(1:1の光学対掌体)の場合では2分子層にまで吸着する。この差は粘土面上に一定配向で吸着した分子間に働く立体選択的相互作用の違いによって引き起こされると推定されてきた。しかし、粘土鉱物は絶縁性の微結晶(1ミクロン以下)であることから、プローブ顕微鏡や3次元X線構造解析などの方法を適用して、上の仮説を検証することが困難であった。このため、長い間、粘土面での分子識別機構のミクロレベルでの解明は未解決の課題となってきた。 今回我々はこれを乗り越えるための新しい手段として、独自に開発した赤外円二色性分光法(VCD)を適用した。本研究では、エナンチオマー間の相互作用を調べた。1価のトリスキレート型錯体[Ir(bzq)2(phen)]+(bzqH = ベンゾ[h]キノリン)のエナンチオマーを用いて、モンモリロナイト面での吸着分子間の相互作用を調べた。その結果、VCDスペクトルの強度が分子間相互作用の影響を敏感に受けることがわかった。理論計算との比較から、1分子層と2分子層の間での分子間相互作用の違いを詳しく解明することができ、論文発表およびプレスリリースをおこなった。用いたイリジウム錯体は光反応などで着目されていることから、今後粘土鉱物を担体に用いた不均一系触媒反応などへの発展が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新しい知見を基にプレスリリースを行うことができ、科学新聞で紹介された。
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Strategy for Future Research Activity |
無機キラル物質の創成に向けて、現在焼成方法の検討を行っているところである。これを基に、測定手法を開拓する予定である。
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Causes of Carryover |
無機キラリティ創成に関して再現性(特に焼成条件)に時間を要している。このため、条件設定の検討および、焼成後の測定手法の開発をおこない、論文化へつなげる。
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